財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)は、「県内経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい状況にあるものの、持ち直しの動きがみられる」と、2020年10月の「山口県内経済情勢」について総括判断した。4月の「経済活動が抑制され、足下で下押しされており、厳しい状況にある」から、7月の「厳しい状況にあるものの、足下では下げ止まりの動きがみられる」、そして今回と、2期連続で上方修正した。
各項目を見ていくと、まず「個人消費」は、全体では「緩やかに持ち直している」とした。「ドラッグストア」で飲食料品など、「家電大型専門店」でテレビなど、「ホームセンター」で工具・資材など、「百貨店・スーパー」で飲食料品などの販売が堅調で、前年を上回った。その一方、「コンビニエンスストア」でカウンターフードなど、「乗用車」で普通・小型・軽の各乗用車が軒並み低調で、前年を下回った。
次に「生産活動」は、全体では「持ち直しの動きがみられる」と判断。「化学」は、インフラ向け樹脂原料の需要が堅調で高めの操業。「窯業・土石」は都市部における再開発向けの需要があり、「鉄鋼」も自動車向けの需要回復のペースが鈍いものの電機向け需要が堅調で、おおむね横ばい。「輸送機械」は、海外向け需要が回復しつつある。
「雇用情勢」は、「弱い動きが見られる」。有効求人数が減少し、逆に求職者数は増加している。
また「設備投資」は、製造業では「石油・石炭」「化学」などで増加し、「業務用機械」などで減少、全体では前年度を上回る。非製造業では、「鉱業・採石等」「金融・保険」などで増加し、全体では前年度を上回る見込みだ。
さらに「企業収益」は、製造業では「金属製品」などで増益、「化学」「窯業・土石」などが減益で、全体では減益見込み。非製造業では「学術研究・専門・技術サービス」、「建設」などで減益で、全体では減益見込みだ。
そして「住宅建設」は前年を下回り、「輸出」も前年を下回る。
調査対象企業からは「花火大会やスポーツ大会などのイベントが中止になり、客足が減少」(コンビニエンスストア)、「新型コロナウイルス感染症対策商品が引き続き堅調で、ついで買いとして生鮮食品や冷凍食品などの売り上げが伸びている」(ドラッグストア)、「特別定額給付金の効果もあり、大画面の有機ELテレビなど高額な商品の売り上げが好調」(家電大型専門店)、「自宅で過ごす時間が増えたことから、引き続きDIY関連商品が堅調。また8月の猛暑で携帯扇風機などの季節商品が売れた」(ホームセンター)、「宅配や移動販売による売り上げが伸びているほか、内食需要の増加から青果など飲食料品の売り上げが伸びている」(スーパー)、「建設工事の取りやめが引き続き生じているものの、影響は薄れてきており、都市部での再開発向けを中心に需要が回復傾向にあり、足下ではおおむねフル生産」(窯業・土石)、「欧州などの需要が引き続き弱いものの、北米などの需要が回復していることから、7月で生産調整を終え、8月以降は通常の操業体制に戻っている」(輸送機械)、「新型コロナウイルス感染症の影響により休業していたが、通常営業再開後も客足が感染拡大前の水準に戻っておらず、人手が過剰気味となっている」(生活関連サービス)、「店舗の統合に伴う建物の新設を行っている」(金融・保険)などの声が聞かれた。
「先行き」については「感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていくなかで、各種政策の効果もあって、持ち直しの動きが続くことが期待される」とした上で、「新型コロナウイルス感染症が地域経済に与える影響に十分注意する必要がある」としている。