萩往還のガイドを始めて9年、ガイド回数も優に100回を超えたが、ここの説明をする際、特に女性にガイドする場合には少し抵抗感を覚え、苦笑しながら説明してしまうのが常である。その理由はこうだ。
昔ここには滾々と湧き出る清水があって、この先の六軒茶屋の住人、伊藤氏、藤井氏が旅人にトコロテンを提供していた。清水がとても冷たいためトコロテンもぐっと冷え、それを食べれば男性のシンボルも縮み上がる、ということでその名がついたと伝えられている。今から百年前頃までは萩往還を歩く人は冷えたトコロテンを味わえたと記録にある。ちなみに味付けは「しょうゆ」と「砂糖」の二種類だったという。
文・イラスト=古谷眞之助