山口市は、新しい本庁舎の建築準備を進めている。
現在の市庁舎は、最も古い棟で建築後約60年が経過しており、老朽化や狭あい化、耐震性などの課題を抱えている。2005年の1市4町合併以降さまざまな検討がなされた結果、現在地への建て替えが決定。2019年7月には「山口市新本庁舎整備基本計画」も固まった。
そして現在は、①新たな都市景観の形成②まちづくりへの貢献③配置計画の合理性、の三つの視点の下で基本設計の検討が重ねられている。
まず①は、サビエル記念聖堂や亀山との調和・連続性などを踏まえた建物の位置や高さを検証。パークロードに面する「庁舎の顔」を形づくり、市のシンボルとなる景観づくりを目指す。
②は、新たな人の流れや回遊性を創出し、周辺エリアににぎわいを発信することを考えている。
そして③は、新本庁舎の各機能が相互に連携することはもちろん、周辺施設との有効な関係性を確保し、相乗効果が発揮される適切な位置・形状の検討や、周辺施設も含めた安全かつ明快な移動空間を構築していく。
さらに、「誰もが利用しやすく、安全安心に、そして環境にやさしい庁舎になる」よう、ユニバーサルデザインの取り入れ、サイン計画やBCP(災害時などにおける業務継続計画)、環境配慮等についても、考え方を整理しているところだ。
設計作業は、新型コロナウイルス感染拡大等の影響もあり、当初のスケジュールから遅れが生じている。だが、2024年度の新本庁舎棟の竣工、2026年度の市民交流棟や新立体駐車場の竣工等、全体スケジュールに大きな影響はなさそうだ。
一方、庁舎周辺の整備としては、本庁舎の建つ「亀山周辺ゾーン」と「中心商店街ゾーン」とを、歩行者が回遊しやすくする。山口市役所から山口県立美術館や山口県立博物館を抜けて山口県庁へとつながるパークロードは、十分な歩行空間が確保された快適な歩行空間だ。この歩行空間を、山口市中心商店街、そしてJR山口駅まで延伸させ、山口市のメインストリートと位置付ける。そのためにも、駅通りや早間田交差点、パークロードにおけるバリアフリー化や修景整備等に取り組む考えだ。2021年度からは、駅通りを中心に居心地がよく歩きたくなるまちなかを形成する「まちなかウォーカブル」事業も開始する予定。にぎわいに資する沿道土地利用の促進や、イベントなどの活動支援を進めていく。