「お前たち、普段はどこにいるんだっけ?」
昨年末、78歳で亡くなった国民的コメディアンの小松政夫さんによると「チュチュンがチュン」と鳴きながら、〈三羽の雀〉で集まって、「電線」で過ごしているらしい。
その後、雀は猟師に撃たれ、焼かれた挙句に食されるという、あのハチャメチャな「電線音頭」の一節である。なぜにああも流行ったんだろう。かくいう私も、ひたすら歌い踊った一人。
45年前のお話である。
では、350年前はどうだったのか。江戸初期の絵師、等哲先生いわく〈三羽の雀〉とは、竹の枝にとまっては跳ね回る愛すべき輩であるとのこと。確かに、そんなにくっついて同じ枝にとまったら、しなるわ揺れるわで大事だろうにお構いなし。虫を咥えた子雀は喜び勇んで逆上がりまで披露する始末である。
初夏の朝まだき、雀たちの大騒ぎに目を覚ました先生。庭の一隅にひとときの涼を見いだしたに違いない。朝顔の揺れる青が沁みる一点である。
山口県立美術館副館長 河野 通孝