財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)は、「県内経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい状況にあるものの、持ち直しの動きがみられる」と、四半期ごとに行っている2021年1月の「山口県内経済情勢」について、昨年10月と同様の総括判断をした。
各項目を見ていくと、まず「個人消費」は「一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している」とした。「ドラッグストア」で飲食料品など、「ホームセンター」で園芸用品など、「コンビニエンスストア」でデザートなど、「乗用車」で普通・小型・軽の各乗用車の販売が堅調で、前年を上回った。その一方、「百貨店・スーパー」では衣料品などが低調。「家電大型専門店」も、昨年のウインドウズ7サポート終了前の駆け込み需要反動減があり、前年を下回っている。
次に「生産活動」は、全体では「持ち直しの動きがみられる」と判断。「化学」は、自動車向け樹脂原料の需要が堅調で高めの操業を維持。「窯業・土石」は、都市部における再開発向けの需要がありおおむね横ばい。「輸送機械」「鉄鋼」は自動車向けの需要により、持ち直しの動きがみられる。
「雇用情勢」は、「弱い動きがみられる」。有効求人倍率は新型コロナウイルス感染症の影響により低下した状態が続いており、新規求人数は前年を下回っている。
また「設備投資」は、製造業では「石油・石炭」「化学」などで増加し、「業務用機械」などで減少、全体では前年度を上回る。非製造業では、「小売」「鉱業・採石等」などで増加し、「リース」などで減少、全体では前年度を上回る見込みだ。
さらに「企業収益」は、製造業では「業務用機械」などで増益、「化学」「窯業・土石」などで減益で、全体では減益見込み。非製造業では「小売」などで増益、「学術研究・専門・技術サービス」「建設」などで減益で、全体では減益見込みだ。
そして「住宅建設」は前年を下回り、「輸出」は北米・アジア向けが増加しており、前年を上回っている。
調査対象企業からは「新型コロナウイルスの影響で高齢者の来店が減少しており、シニア層向け衣料品の売り上げが低迷」(百貨店)、「マスクや体温計など新型コロナウイルス感染症関連商品の売り上げが引き続き堅調かつ家飲み需要の増加により酒類など飲食料品の売り上げが増えている」(ドラッグストア)、「在宅時間の増加により園芸用品が堅調。また、大型家具や季節商品の売り上げが、行政による消費喚起策の効果や厳冬の影響により伸びている」(ホームセンター)、「行楽を控える代わりにプチ贅沢(ぜいたく)志向が高まっており、高単価なデザートなどの売り上げが好調」(コンビニエンスストア)、「実施を中止していた土日のイベントを10月から再開したことに加えて、メーカーの工場の稼働率上昇に伴い商品の入荷遅れが解消。売り上げは伸びている」(自動車販売店)、「GoToトラベル事業を利用した予約が増加していたが、12月に事業の停止が決まってからは予約キャンセルが相次ぎ、新規の予約も減少している」(旅館、旅行代理店)などの声が聞かれた。
そして「先行き」については「新型コロナウイルス感染拡大の防止策を講じるなかで、各種政策の効果もあって、持ち直しの動きが続くことが期待される」とした上で、「内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある」としている。