ソフィーとおかあさんがお茶にしようとしていたとき、おなかをすかせたとらが「ごいっしょさせて いただけませんか?」とやってきました。「もちろん いいですよ。」おかあさんがパンやケーキなど次々にすすめると、とらはそれを全部たいらげ、とうとう家中の食べ物がすっかりなくなってしまいました。
とらがいなくなったあと、夕食をどうしましょうとおかあさんが途方にくれていたところへ帰ってきたのはおとうさん。「いいかんがえがあるよ。」といって、みんなをレストランにつれて行ってくれました。
先日YCAMシネマでこの絵本の作者の少女時代を描いた映画「ヒトラーに盗られたうさぎ」を観ました。彼女の父親はユダヤ人ジャーナリストだったため、一家はヒトラーが台頭するドイツを離れ、スイス、フランス、イギリスへと移り住みました。行く先々でソフィーの家族のようにあたたかく迎えてくれる人々と出会えたからこそ、厳しい時代を生きぬくことができたのでしょう。
背景を知ることで、作品に満ちた幸せがより深く心に届いてきました。
( ぶどうの木代表 中村 佳恵 )
童話館
作:ジュディス・カー
訳:晴海 耕平