「暑さ寒さも彼岸まで」というように、季節の節目、3月と9月にあるお彼岸。新型コロナウイルス感染拡大防止に注意しつつ、お墓参りをしたり、家族に会ったりと、感謝やご縁をあらためて感じる時間として過ごしてみては?
お彼岸とは
お彼岸とは、春分の日と秋分の日を中日とした、前後3日を含む7日間をいう。
古代インドのサンスクリット語「パーラミター(波羅蜜多)」の漢訳「彼の岸へ至る」が語源で、煩悩や迷いに満ちたこの世を「此岸」というのに対し、悟りの世界・仏の世界が「彼岸」と呼ばれる。また、日本の太陽信仰からきた「日願」が「彼岸」となったという説もある。彼岸は西に、此岸は東にあるとされており、太陽が真東から昇って真西に沈む春分・秋分は彼岸(あの世)と此岸(この世)が最も近くなると考えられていたという。
お彼岸にお墓参りをする文化は、実は日本独自のものだ。春分の日は「自然をたたえ、生物をいつくしむ」、秋分の日は「祖先をうやまい、亡くなった人々をしのぶ」という意味をもつことから、自然への感謝と先祖供養が仏教の「彼岸=極楽浄土」の教えと結びついたのが理由ともいわれている。
お彼岸の過ごし方
お彼岸には、普段よりも時間をかけて仏壇や仏具を清め、お墓をきれいに清掃しよう。仏壇は柔らかい布でのから拭きが基本だが、汚れがひどい時は、水で濡らし固く絞った布で拭き、汚れを落とした後、から拭きするとよい。お墓は風雨にさらされるため、汚れが付着しやすい。水を含ませたスポンジで汚れを落とし、最後に水をふき取る。汚れを長期間放っておくとシミの原因になるので、こまめな掃除を心がけよう。周囲の雑草を取り、落ち葉やごみを拾うことも忘れずに。
普段は忙しく、なかなかお墓参りに行けない人も、先祖や故人に思いをはせるとともに、墓石の汚れや破損などの悩みを、移転・建て替え・建立などで解決する機会にしてみては。
お花、お供えの作法
お供えやお墓参りに欠かせないのがお花。一般的には、白百合やトルコキキョウ、ガーベラなど、白を基調とした淡い色が無難とされている。特に、菊やキキョウなどは日持ちが良いため、お墓に供える花として最適だ。掃除をした後の水鉢にきれいな水を入れ、花立には供花の長さを整えて生けよう。
お彼岸のお供え物は「ぼたもち(おはぎ)」が一般的とされているが、故人の好きだったものでもよい。墓石に直接置かず、二つ折りにした半紙やトレーの上に置くよう気を付ける。お供えは、放置すると動物やカラスに荒らされることもある。参拝後は持ち帰るなど、お墓やその周辺の環境が美しく保たれるよう配慮しよう。