財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)は、四半期ごとに実施している「法人企業景気予測調査」を、このほどまとめた。調査時点は2月15日。
今期のBSI(景況判断指数)はマイナス0.9だった。2004年の調査開始以来最悪の指数・マイナス52.5だった2020年4~6月期を底に、11.1(2020年7~9月期)、14.7(同年10~12月期)と回復傾向だったが、3期ぶりのマイナスとなった。
BSIとは、前の四半期と比べた景況判断で「上昇」と答えた企業の割合から「下降」と答えた企業の割合を引いた値。今回は、今期(2021年1~3月)の現状、翌期(4~6月)の見通し、翌々期(7~9月)の見通しについて110社に対して判断を求め、全110社が回答した。内訳は、製造業が35社(31.8%)で、非製造業が75社(68.2%)。企業規模では、大企業(資本金10億円以上)が28社(25.5%)、中堅企業(同1億円以上10億円未満)が26社(23.6%)、中小企業(同1000万円以上1億円未満)が56社(51.0%)だ。
今期の「景況判断」について、前期に比べ「上昇」したと答えた企業は22.7%で、「下降」は23.6%。前回調査時の今期BSI予測はマイナス6.4で、それよりは5.5の上方修正となった。製造業は、石油・石炭などで落ち込んでいた需要が戻るなどして、20.0のプラス。一方非製造業は、宿泊・飲食サービスなどの新型コロナウイルスによる客数減少などによって、マイナス10.7だった。規模別にみると、大企業がプラス42.9、中堅企業がマイナス11.5、中小企業がマイナス17.9。
また、翌期はマイナス9.1とマイナス幅がさらに拡大し、翌々期はプラス1.8の見通しだ。
次に「売上高」は、2020年度(回答78社)が前年度比17.7%の減収見込み。製造業は、石油・石炭・化学などの減収によって、マイナス20.5%。非製造業は、運輸・郵便などで減収だが、小売・卸売などが増収で、0.02%の増収見込み。また、2021年度(同58社)は、前年度比プラス3.9%の増収見通しだ。
そして「経常利益」は、2020年度(同77社)が前年度比37.1%の減益見込み。製造業がマイナス42.7%で、逆に非製造業は2.5%の増益見込み。2021年度(同58社)は、前年度比プラス16.7%の増益見通しだ。
また、2020年度の「設備投資」(同86社)は、前年度比16.2%の増加見込み。製造業は12.3%、非製造業は50.9%と、どちらも増加の見込みだ。逆に2021年度(同68社)は、15.0%の減少見通しとなっている。
「雇用」の現状BSI(同95社)は、21.1ポイントの「不足気味」超。コロナ禍にあっても、翌期は24.2、翌々期は24.2ポイントの「不足気味」超で推移する見通しだ。
新型コロナに翻弄 回答企業の声
回答企業からは「新型コロナウイルス感染症の影響で減少していた自動車向けゴム製品原材料の販売数量が、国内・海外ともに前年並みに回復してきている」(石油・石炭)、「外出の自粛要請や一部地域での緊急事態宣言により、宿泊予約のキャンセルが相次ぎ、新規の予約も減少し始めたことから、年始明け以降は予約状況に応じて休館している状況である」(宿泊・飲食サービス)、「1月以降寒波が続いたため、1-3月期はガス器具の需要が例年と比較して増加しているが、4-6月期は厳冬による特需がなくなり、受注が例年並みとなる見込み」(金属製品)、「新型コロナウイルス感染症の影響が見通せないものの、感染症の収束に時間がかかれば、4-6月期は来店客数の減少による売り上げの減少が懸念される」(小売)、「4月以降は新型コロナワクチン接種の効果で感染拡大が収まることを期待しており、新型コロナウイルス感染症の影響を受けている都市部向けの貨物運送が回復し、売り上げが増えるとみている」(運輸・郵便)。