庭の椿が、今年は沢山咲いた。去年は、今年の半分も咲かなくって、このまま段々と枯れていくのではないかと心配した。今年は、1メートル60センチくらいの木に50個以上のピンクの花を咲かせてくれた。嬉しくて、暖かい日には木の前に椅子を持ち出し、お茶を飲んだり、トロトロと居眠りをした。
ある日、椿の木をよく見たら、葉の上に蝉の抜け殻が、そのままの形であった。指で触ったら、しっかりとくっついている。きれいな薄いブラウンで、透明。見事に背が割れ、そこから風が中まで通ったのか、カラカラに乾いて、葉の緑が透けて見えて美しい。
ふと、このままパリパリと食べられそうだな、と思った。
というのは、さっき読んだ友人の手紙の中に、こんなことが書かれていたのです。
『将来は蛋白質の3分の1を昆虫で補わなければなりません。戦前の日本人は、イナゴをよく食べたものです。フィンランドではコオロギのお菓子が定着していますよ。かの偉大なファーブルは蝉を食べました。食用の昆虫は、管理された餌で育ち、加熱処理された衛生的なものです』
友人は、コオロギを食べたことがあるそうで、エビのから揚げにそっくりの感触と味だと書いています。
蝉の抜け殻が美味しく見えてきました。食べようかしら。