愛鳥週間は終わりましたけれど、鳥のさえずりは、初夏の空に響き渡り、私は朝に夕に聞きほれています。するとこんな詩が目に飛んできました。
つぐみちゃん 細野傳造
(前略)
このごろまいにち来て呉れるね/いちにちなんべんも来て呉れるね/ちょこっと唄って/さっと躍って/ちいっと鳴いて逃げてゆき/すぐにまた来て呉れる/ひとり道ゆくつぐみちゃん//このごろかれしを連れて来るね/ふたりして/門付けを咥えて消える/もうじき生国に帰るんだね/こどもを産みに/薄墨の袷の前が膨らんでいる/おかあさんになるんだねえ/おんなだねえ/温かそうな/お腹が膨らんだ鳥だねえ
先日、道で若い女性がかがんで何かをしているのに出会った。覗くと鳩くらいの大きさの鳥が横たわっていた。少しも動かない。女性が私を見上げ「どうしましょう」と言った。「鳥に触れる?」と訊いたら「できます」。少し先に動物病院がある。「動物病院まで、あなた抱いて行ってね。治療費は私が」と言った。私は鳥を触るのは苦手なのだ。女性が鳥を抱こうと羽に触れた瞬間、鳥は目を開け、ケッケッと鳴き、大きな羽音で飛び去った。
「気絶してたんだね」。二人でしばらく空を見ていた。それから「さようなら」と言って右と左に別れた。