この本を書いたのは、現代の人々の暮らしや風俗を観察・調査している考現学者の御夫婦。一九七四年から二十五年間かけて日本各地を歩きながら見てきたことを「親子三人の町歩き」という形にまとめたのが、この作品です。
女の子の目にとまったのは、食べ物屋さんのショー・ウィンドー。カレーライス一つとっても、値段、器、盛り方など、お店によってさまざまです。
お父さんが興味をもったのは、家の前に置かれた植木。バケツ、タイヤ、なべなど、いろいろなものに草や木が植えられていました。
お母さんは、洗濯物の干し方に注目。アパートのベランダを一つ一つ見ていると、そこで暮らしている人の生活ぶりが見えてくるようです。
本の後半には「こんなこともテーマになるよ」といった、町の研究者になる方法が紹介してあります。
見慣れた町も、ちょっと見方を変えて歩くと、おもしろいことがたくさんありそうです。ポイントは「とにかく、あわてず、ゆっくりと」。皆さんも挑戦してみませんか。
(ぶどうの木代表 中村 佳恵)
福音館書店
文・絵:岡本 信也/岡本 靖子
絵:伊藤 秀男