庭に花が咲いているのだがほとんどの名前を知らない。雑草といわれる草にも可愛い花が咲いている。色華やかで形も可愛くて見ほれる。
本の題名は忘れたが“固有名詞とは、愛するものにつける名前のことである”とあった。子やペットにつける名前には愛がこめられるだろう。花に私だけの名前をつけようかしら。これは佐々木さん、香苗さん、勉君…。
玄関前に二つの鉢を置いている。一つは桔梗。毎年紫色の清楚な花が咲く。今、三十センチばかり伸び葉をつけている。もう一つの鉢は去年は何も芽吹かなかったが、今年は桔梗と同じような、それよりも立派な茎が育っている。桔梗が隣の鉢に飛んできたのだな、と思って水をやっていた。ある日、友人が「これ、セイタカアワダチソウじゃん」と言った。
セイタカアワダチソウという名前を知ったその時から私の思いが変わった。桔梗だから咲くのを待った。セイタカアワダチソウという名前を知り、黄色のあの強烈な花粉をまき散らす花が咲くのだとわかったらいらない。愛せない。
私はセイタカアワダチソウのことを何も知らない。知らないのに嫌ってはいけない。名前の持つ負のイメージに引きずられてはいけない。成長を観察しよう。さあ、明日も二つの鉢に等分の水をやろう。