『詩をして語らしむⅡ・本多寿著(宮崎市在住の詩人)』が送られてきた。本多氏の心にとまった詩が氏の感想と共に引いてある。こんな詩に出会った。
慈愛の眼差し 金 鐘海
私が蒔いた種たちが真夏の家の畑で育つ/新たに入籍した私の家族だ/サンチュ 唐辛子 茄子 かぼちゃ 苺 トマト/とうもろこし等の/名の前に金氏姓を付けてあげる/金サンチュ・金唐辛子・金茄子・金かぼちゃ・金苺・・・/草取り鎌を握った家長の心は満たされる/私の体の葉のふちごとに汗の滴が宿る/土の中に体を縛り付けて世を覗き見する目/雑草の名前の前にも金氏姓を付けてあげる/雑草を抜き取る私の手がもじもじする/金雑草、しかし私は断固たる態度をとる/伸びる家族たちのせいで家長は忙しい/土の思いを空に巻き上げる家長は忙しい/今日は天の父に半日 日光をもっとくれるようにたのむ/喉が渇いた私の家族にひと雨降り注いでくれとお願いする/ああ、生きている日の祈りよ!
我が家の庭の雑草にも我姓をつけよう。そして引き抜く。「来年も又会おう」と、もじもじと良い人ぶって言う。本多氏はこう書く。“雑草といえども野菜や人間と同じ生命をもつもの。「もじもじする」とは、心に同じ命を抜き取る疾しさが生じたことを暗示する”。