夏の初め、草むらにうみつけられた「らんのう」から、たくさんのおおかまきりの幼虫が出てきました。
幼虫たちは脱皮をくり返しながら大きくなっていきますが、まわりには、ありやくもなど敵がたくさんいます。また、強い風に飛ばされたり、雨に流されたりするものもいて、生き残っていけるものはごくわずかです。
最後の脱皮を終えて成虫になると、とげのはえたかまのような前足を巧みに使って、大きなせみやすずめばちなどをつかまえ、えさにしてしまいます。
秋が近づくと交尾し、めすは産卵します。この「らんのう」の中に、次の新しい命が宿っているのです。
「こんちゅうの一生シリーズ」の一冊。表紙いっぱいに描かれたかまきりのあざやかな緑が地色の白に映え、体にみなぎるエネルギーが伝わってきます。
このシリーズは、自然に触れる機会の減った今の子どもたちにも昆虫に興味をもってもらいたいとの思いから、四十年前の作品に手を加えて出版されました。
県立図書館には旧版もありますので、読みくらべてみると面白いですよ。
(ぶどうの木代表 中村 佳恵)
福音館書店
文・絵:得田 之久