奇兵隊というと幕末のヒーロー的イメージが強いが、戊辰戦争から凱旋した彼らを待っていたのは悲惨な運命だった。明治三年、藩政府は正規軍再編のため隊士約五千人のうち約半数を論功行賞もなく解雇してしまう。しかも、解雇された者のほとんどは武士階級ではない平民出身者だったという。解雇された彼らは藩政府に対して反乱の狼煙を上げた。
反乱軍は一時優勢に立つが、新政府の桂小五郎らは急遽山口に帰り、彼らを「尾大の弊」として徹底的に鎮圧・断罪した。その結果、反乱の首謀者の多くがここで斬首されてしまう。萩藩の歴史の暗部とも言える事件である。明治政府が彼らのために招魂碑を建てたのは、それから実に23年後のことだった。
文・イラスト=古谷眞之助