仁保出身の私小説家・嘉村礒多(1897~1933)の文学に浸りながら散策を楽しむイベント「礒多ゆかりの地を巡るウォーキングツアー」が開かれる。日時は10月23日(土)と11月27日(土)で、両日とも午前10時半から正午まで。どちらか希望日を選んで申し込む。
当日は、礒多の生家「帰郷庵」(山口市仁保上郷)に集合し、地元ガイドによる説明を受けながら、礒多の墓や小説「神前結婚」の舞台となった妙見社、帰郷庵近くにある厄除けの石仏など、約3キロのコースを巡る。参加は500円(お土産付き・保険料含む)で、定員は各20人。マスク、飲み物、歩きやすい靴、雨具などは、各自で準備する。
申し込みは、電話で参加希望日・住所・氏名(漢字)・電話番号を、主催の仁保自治会・嘉村礒多生家の会(TEL083-929-0433)に伝える。締め切りは10月13日(水)で、応募者多数の場合は抽選によって参加日の変更を依頼されるか、参加できない場合もある。
嘉村礒多は、山口市仁保出身の小説家。1928年処女作「業苦」を発表。「神前結婚」を発表した1933年に死去という、行年37歳にしてわずか6年足らずの作家生活だったが、自身の生活や感情を徹底して書き続けたことから「私小説の極北」と評されている。
生家や礒多の愛した仁保の自然を守り、郷土の文化遺産を後世に伝えていこうと、2004年に仁保自治会と嘉村礒多顕彰会らが約1万2000人の署名を集め、生家の保存活動を展開。2008年に山口市が嘉村家の親族から築後130年を経た生家を譲り受け、2010年11月27日に当時の面影を残しながら古民家暮らしが体験できる施設として開館した。「帰郷庵」という名称は、開館の際に公募によって決定した。同施設では、五右衛門風呂やかまどを使った料理、囲炉裏を囲んでの語らいなどが体験でき、宿泊することもできる。
2020年は、開館10周年を記念して同イベントが初開催され、2回目となる今回は「山口ゆめ回廊博覧会」の「ゆめ散歩」プログラムの一つとして開かれる。
なお、新型コロナウイルス感染予防対策として、発熱などの症状がある場合は参加できない。