外は一面雪景色。食べ物をさがしに行って、かぶを二つ見つけたこうさぎは、ひとつは自分で食べ、もうひとつは友だちのろばに持っていってあげることにしました。
ところがろばは、あいにく留守でした。そこでこうさぎは、かぶをそっと置いて帰りました。
ろばも食べ物をさがしに出かけていたのですが、さつまいもを見つけて帰ってくると、台の上にかぶが置いてあるのを見てびっくり。ろばはそれを、こやぎの家に届けることにしました。
こやぎも同様、こじかにかぶを持っていってあげようと考えます。
こうしてめぐりめぐったかぶは、最後に再びこうさぎの家に届けられたのでした。
「〇〇さんは きっと たべものが ないでしょう。」 とくり返される動物たちの言葉は、声に出して読むと一層心に響き、あたたかい気持ちになれます。
本文の中に「しんせつ」「やさしい」といった言葉は使われていませんが、それがどんなことなのかが、小さい子どもたちにも自然に伝わる作品です。
(ぶどうの木代表 中村 佳恵)
福音館書店
作:方 軼羣
訳:君島 久子
画:村山 知義