財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)は、四半期ごとに実施している「法人企業景気予測調査」の結果を、このほどまとめた。調査時点は11月15日で、今期(2021年10~12月)の現状、翌期(2022年1~3月)の見通し、翌々期(同4~6月)の見通しについて山口県内116社に判断を求め、114社が回答した。内訳は、製造業が40社(35.1%)で、非製造業が74社(64.9%)。企業規模別では、大企業(資本金10億円以上)が27社(23.7%)、中堅企業(同1億円以上10億円未満)が同じく27社(23.7%)、中小企業(同1000万円以上1億円未満)が60社(52.6%)だ。
まず、今期の「景況判断」が、前期に比べ「上昇」したと答えた企業は25.4%で、「下降」との回答は16.7%。BSI(「上昇」と答えた企業割合から「下降」と答えた企業割合を引いた景況判断指数=ビジネス・サーベイ・インデックス)は8.8ポイント。これまで3期連続でマイナスが続いていたが、4期ぶりにプラスに転じた。業種別にみると、製造業は2.5ポイント、非製造業は12.2ポイントのプラス。規模別では、中堅企業は14.8ポイント、中小企業は11.7ポイントのプラスだったが、大企業は3.7ポイントのマイナスだった。また、先行きについては、翌期は7.9ポイント、翌々期は7.0ポイントのプラスで推移する見通しだ。
次に、2021年度の「売上高」(回答91社)は、前年度比23.9%の増収見込み。製造業は、食料品などで減収となるものの、石油・石炭、化学などの増収によって、28.9%の増収見込み。一方非製造業は、卸売などが増収、建設や小売などは減収で、前年度並みとなっている。
2021年度の「経常利益」(同91社)は、前年度比31.8%の増益見込み。製造業は、化学などで減益となるものの、石油・石炭、情報通信機械などで増益となり、39.9%の増益見込み。逆に非製造業は、運輸・郵便などで増益となるものの、小売や建設などが減益で、全体としては7.9%の減益見込み。
また、2021年度の「設備投資」(同100社)は、前年度比0.2%の増加見込み。製造業は、石油・石炭などで減少となるが、窯業・土石、情報通信機械などで増加となり、5.0%の増加見込み。非製造業は、金融・保険などで増加するが、小売、鉱業・採石等で減少するため、29.5%の減少見込みだ。規模別にみると、大企業(0.3%)と中小企業(102.8%)は増加、中堅企業(マイナス13.0%)は減少の見込み。
「雇用」の現状BSI(同106社)は、24.5ポイントと、34期連続での「不足気味」超。翌期(20.8ポイント)、翌々期(16.0ポイント)も「不足気味」超は続く見通しだ。
回答企業の声
回答企業からは「10月以降は全国的に緊急事態宣言が解除され、県のプレミアム宿泊券の利用再開もあり、県内だけでなく県外からの宿泊客が増加している。コロナワクチンの接種が完了した人を対象とした旅行会社のツアーでの利用もみられており、団体客も徐々にではあるが回復してきている」(宿泊・飲食サービス)、「感染の拡大を受けて延期されていた修学旅行や遠足などの学校行事が再開され、利用者及び売り上げが回復基調にある」(運輸・郵便)、「幅広い用途向けで受注が堅調となっているものの、鉄スクラップなどの原材料や製品の運搬に使用する燃料の価格高騰が続いているため、利益を圧迫している」(鉄鋼)、「一部のメーカーが業績好調を受けて設備投資を増やしている影響から、工場向けの受注が増えている。感染が落ち着き、公共工事が足下で動き出しており、工事関連の受注も増えてきている」(生産用機械)、「世界的な半導体不足や、感染拡大に起因する東南アジアからの部品調達難による取引先の生産調整も徐々に解消するとみており、減っていた受注が増える見通しである」(化学)などの声が聞かれた。