十二月も中旬、気温も低くなったので、寒かろうと六畳の私の部屋の出窓に座らせていた縫いぐるみたちをベッドの上に集めた。体長五十センチの熊に足の太い猪、冬山遭難者救助犬、セント・バーナードに小柄なミッキーマウス三体。彼等をシングルベッドに並ばせた。夜には毛布をかけてやる。ベッドはとても狭くなった。厚い冬布団は使えない。仕方がないので寝袋を買った。
寝袋は、雑誌の写真等で見たことはあるが、しっかりと観察したことはない。触ったこともない。スポーツ専門店にあるらしいとは聞いていたが、我が家から遠いので、通信販売を利用した。カタログには『羽毛入りでポッカポカ!』『防災用に、車中泊に便利』と魅力的な言葉の羅列。買おう! 寝袋があれば時には庭で寝て流れ星も見られるぞ。
寝袋が届いた。頼りない軽さ。これで寒い冬も大丈夫? 縫いぐるみの横で寝袋に足から入る。芋虫のようにくねくねしながら入る。背中側がたるみ引っ張りあげるのに苦労する。しばらくすると暖かくなってきた。トイレに行きたくなった。あーあ。寝返りを打つ時、身体の動きに不自由さがあったが、深く眠れた。
朝、ファスナーを開けると新しく生まれ出た感じがして、オギャーと言ってみた。