【はじめに】
明けましておめでとうございます。すがすがしい新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げますとともに、県民の皆様にとりまして、本年がより良い年となりますことを、心からお祈り申し上げます。
昨年は、新型コロナウイルスとの闘いに明け暮れた厳しい一年でした。日夜最前線で検査や治療に当たっていただいた医療従事者の皆様、自らの危険も顧みず、県民生活に関わる業務を継続していただいた関係者の皆様、そして、外出機会の半減や営業時間短縮など厳しい対策にご理解とご協力をいただいた県民・事業者の皆様に、改めて深く感謝申し上げます。
皆様のお陰で、山口県は、これまで緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令に至ることなく、幾度もの感染拡大の波を乗り越えてくることができました。
一方で、この度のコロナ禍は、社会・経済はもとより、私たちの意識や行動、価値観にまで大きな変化をもたらしました。その中から生まれた政策課題の一つが、社会全体のデジタル化です。
本県においても、デジタル化がもたらす地域課題の解決と新たな価値の創造によって、県民一人ひとりが希望するサービスやライフスタイルを自由に選択でき、これまで以上の豊かさと幸せを実感することのできる社会の実現を目指して、現在、官民を挙げた「やまぐちデジタル改革」に取り組んでいます。
また、コロナ禍により、都市が抱える過密リスクが顕在化するとともに、テレワークが急速に普及する中で、若い世代を中心に地方移住への関心が高まっています。
こうした動きをチャンスと捉え、都市での仕事を続けながら地方へ移住する「転職なき移住」を本県に呼び込んでいくため、テレワークのモデルオフィスや、休暇先でテレワークを行うワーケーションの総合案内施設を新たに設置するなど、本県への人の流れの創出・拡大に向けた取組を積極的に進めているところです。
コロナとの闘いは、今なお予断を許さない状況にあります。引き続き、感染症対策に万全を尽くすと同時に、地域経済や県民生活の再生に取り組んでいく、そして、様々な社会変革の動きに的確に対応し、山口県の未来を切り拓く新たな成長へとつなげていく、今年をそうした一年にしていきたいと考えています。
【感染症への対応】
新型コロナウイルスの感染は、現在のところ、全国的に落ち着いた状態が続いていますが、昨年末には感染力が強いとされる新たな変異株が出現し、世界各地で急速に再拡大しつつあります。
このような中で、第一に為すべきは、何よりも県民の皆様の命と健康をコロナから守り抜くことです。
県では、感染の再拡大に備え、既に国の推計を上回る入院病床と宿泊療養施設を確保しています。今後も、医療が受けられない自宅療養者を決して出すことのないよう、検査体制と医療提供体制の確保に万全を期すとともに、市町や医療関係機関と緊密に連携し、ワクチンの3回目接種を迅速かつ円滑に実施してまいります。
【経済の活性化】
第二に、大きく落ち込んだ地域経済と県民生活を再生し、山口県の元気を取り戻していかなければなりません。
長引くコロナ禍の影響で、県内の社会経済活動は、回復の兆しはあるものの、現在はまだ低迷が続いています。観光振興や県産品の新たな市場開拓など、県づくりの取組の一部も、依然として足踏みを余儀なくされています。
このため、昨年10月に策定した「山口県観光V字回復プラン」に沿って、著しく疲弊した観光産業の一日も早い回復を図るとともに、国の経済対策と呼応しながら、事業活動の継続・活性化への支援や消費需要の喚起など、県内経済を早期に回復軌道に乗せるための対策を全力で進めてまいります。
また、ポストコロナ社会を見据えた成長基盤の強化に向けて、更なる企業誘致の実現や、強い農林水産業の育成と担い手支援等にも重点的に取り組んでまいります。
【新たな未来に向けた県づくり】
そして第三に、山口県の新たな未来に向けた県づくりをしっかりと前へ進めます。
その原動力となるのがデジタル化であり、デジタル技術の活用によって、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方が広まり、生活の利便性においても都市と地方の差が縮まる中で、むしろ、都市にはない豊かな環境とゆとりを提供できる地方の方にこそ、チャンスがある時代を迎えています。
国においても、成長戦略の柱に「デジタル田園都市国家構想」を掲げ、地方からデジタルの実装を進めることにより、地域の個性を活かした地方の活性化を目指すとしています。
こうした国の政策としっかりと連携を図りながら、昨年11月に開設した「やまぐちDX推進拠点」を核として、県政のあらゆる分野でデジタル改革を強力に、そしてスピード感を持って推進し、活力みなぎる山口県の実現に向けた産業維新、大交流維新、生活維新の「3つの維新」をさらに進化させてまいります。
また、県民の暮らしの安心・安全はあらゆることの基本であるとの認識の下、頻発化・激甚化する自然災害等から県民の皆様の命と暮らしを守るため、ハード・ソフトの両面から、防災・減災、国土強靭化の取組を一層強化してまいります。
今後の重要な政策課題である「脱炭素化」についても、本県産業の構造的な特性を踏まえ、その国際競争力の維持に十分配慮しながら、官民連携による脱炭素社会づくりに取り組んでいきたいと考えています。
【終わりに】
県としては、コロナから県民の皆様の命と健康を守り抜き、傷んだ社会や経済を発展的に再生していく、そして、デジタル技術の活用等により、安心で希望と活力に満ちた山口県の未来を切り拓き、県政最大の課題である人口減少に何としても歯止めをかけていく、このことに全力を挙げて取り組んでまいります。
県民の皆様の御理解と御協力を、引き続きよろしくお願いします。