「背伸びして見る海峡の」(港町ブルース・森進一)。私は背伸びして歌う。海峡はどうしても、我が家からは見えないから、寂しい冬山を見ながら背伸びする。背を伸ばさなくっても、山は見えるんだけれどね。何故背伸びして山を見るのか。それは次のような文章を本の中から見つけたからだ。
『文学がエンターテイメントと違う点は、背伸びを必要とするところにある。面白そうだ、楽しそうだ、だけではない動機』。
正月からこっち、ぼんやりテレビばかり見て笑っている私。お餅を毎日沢山食べてるから身体が重い私。心まで餅が絡みつき動かない私。
これではいけない。なんとかしなくては、今年も自堕落に一年を終えてはならない…なんてちょっと思って、本でも読もう。手元に転がっていた本を開いたら、偶然この文章が書かれた頁が現れた。びっくり。
もちろん、エンターテイメントなんて書けない。これは優れた技術がいる。文学作品だって書けるわけがない。才能と修行がいる。ない。
背伸びすれば? 背伸びを必要とする、って書いてあるではないか。知ってますよ。関係ないことを。でも、でもね、背伸びしたら脳細胞が大きく膨らんでくれるかもしれない。だって新年だもの。希望を持とう…?