財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)は、「県内経済は、新型コロナウイルス感染症の影響がみられるものの、持ち直している」と、四半期ごとに行っている「山口県内経済情勢」の2022年1月について総括判断した。昨年10月まで4期連続で「厳しい状況にあるなか、一部に弱さが見られるものの、緩やかに持ち直している」との判断だったが、5期ぶりに上方修正した。
その要点は、「『個人消費』は新型コロナウイルス感染症の影響により、持ち直しの動きに一服感がみられる。『生産活動』は持ち直している。『雇用情勢』は、新型コロナウイルス感染症の影響が残るものの、持ち直しつつある」とした。また、「設備投資」は前年度を上回り、「企業収益」は増益の見込み。そして「住宅建設」「輸出」とも前年を上回っている。
ヒアリングした企業からは、
「新型コロナウイルス感染症の拡大前と比べて家飲み需要が拡大しているため、お酒やおつまみなどの食料品全般が堅調」(ドラッグストア)
「前年に特需となっていたマスクや除菌シートなどの売り上げが足下では落ち着いており、全体も例年並みの売上水準となっている」(ホームセンター)
「前年は巣ごもり需要に関連した商品の売り上げが好調だったが、今年は需要に一服感がみられている」(家電大型専門店)
「全体として客足は回復傾向にあるものの、主要客であるシニア層の戻りが弱く、婦人服などの売り上げが伸び悩んでいる」(百貨店)
「メーカーの生産調整による影響で新車入荷の遅延が続いているものの、足下では徐々に解消されてきており、受注も例年並みに取れていることから、売り上げが回復してきている」(自動車販売店)
「昨年10月以降、各種施策の効果もあって旅行需要が回復し、客足が戻りつつあったが、足下の感染再拡大の影響で個人客、団体客ともに宿泊予約のキャンセルが相次いでおり、平日の臨時休館を検討している」(宿泊)
「国内向けは都市部の再開発向けなどの需要が堅調だが、国内全体でみれば低迷しており、出荷が減少している。海外向けの出荷を増やすことで出荷量を維持。また、前年度は利益減少により控えていたため、その反動で設備投資を増加する見込み」(窯業・土石)
「半導体などの部品不足の影響で自動車向けは減っているが、引き続き産業用機械や半導体製造装置向けなど他の用途向けの需要が堅調となっているため、生産量を維持している」(鉄鋼)
「半導体などの部品不足の影響は徐々に緩和されてきており、足下では稼働率が上昇。生産量が増加している」(輸送機械)
「海外の旺盛な需要を背景に、インフラ向けの樹脂原料など幅広い製品の需要が堅調で、今後もフル生産が続く見込み」(化学)
「コロナ禍で退職があり、従業員が減った中で客足が回復してきているため、一人一人の業務量が増え、人手不足感が増している」(飲食サービス)
「電気自動車などに使用される電子部品の需要が旺盛で、生産能力の増強投資を行っている。業績好調を受けて人手不足にもなっており、従業員の採用人数を増やしたり、残業対応を行っている」(情報通信機械)
などの声が聞かれた。
そして「先行き」については「感染対策に万全を期し、経済社会活動を継続していく中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、感染症による影響や供給面での制約、原材料価格の動向による下振れリスクに十分注意する必要がある」としている。