2月20日は日本アレルギー協会が制定した「アレルギーの日」。現在、国民の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患に罹患している。乳幼児期のアトピー性皮膚炎から始まり、食物アレルギー、喘息、花粉症などアレルギーは、年齢を重ねるごとに次々と異なる症状であらわれることが多く、「アレルギーマーチ」ともいわれている。そのコントロールは、正しい知識と治療によって概ね可能となってきており、アレルギーマーチを防ぐためにも、早期段階の適切な診断が重要とされている。以下に代表的なアレルギー疾患とその留意点を紹介する。
花粉症
鼻水・くしゃみ・鼻づまりが3大主徴で、花粉飛散量に比例して症状が悪化する傾向がある。スギやヒノキなど春の花粉によるものが多く、日本気象協会の2022年春の花粉飛散予測では、中国地方は例年比、前シーズン(2021年春)比ともに少ない予想となっている。
アレルギー性結膜炎
結膜が直接外界に接していて抗原が入りやすいことや、涙液が抗原を溶かしやすいことなどから、目はアレルギー反応が生じやすい場所とされる。カモガヤ(5~7月ごろ)やカナムグラ(9~11月ごろ)などの花粉飛散時期には、同じアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)で、目と鼻にも症状があらわれる。掻くほど余計にかゆくなり、粘膜を傷つける恐れも。視力に影響する場合もあるので、症状が出たら早めの受診を。
ぜんそく
空気の通り道(気道)に慢性的なアレルギーの炎症が生じることで、ダニやホコリ、煙、動物の毛など、様々な刺激に過敏に反応して気道が狭くなり、呼吸が困難になる。ダニやカビといった環境のアレルゲンに反応する「アトピー型ぜんそく」、アレルゲンに反応しない「非アトピー型ぜんそく」がある。治療とともに、環境整備など主体的に自己管理を進めていくことが大切だ。
アトピー性皮膚炎
皮膚にかゆみのある湿しんや炎症、肌の乾燥などが慢性的にあらわれる状態。顔や首、ひじやひざ裏などに発生しやすい。一度治まった後に再発するケースもあるという。ハウスダストやダニ、花粉といった環境的要因と、遺伝による体質的な要因とがある。
食物アレルギー
特定の食物が原因で起こるアレルギー反応で、特に初めて食べた時に症状が出ることが多い。症状の出かたや重症度には個人差があり、原因となる食物アレルゲンの種類・量・品目数・耐性獲得の時期なども人により異なる。なお、食中毒や食物不耐症など、食物アレルギーと間違えやすい症状もあるため、専門の医師による正確な診断が必要となる。
アナフィラキシー
アレルギー反応により複数の臓器に症状が強くあらわれる状態。血圧低下や意識障害を伴う場合を「アナフィラキシーショック」と呼び、一刻も早く医療機関で適切に治療を進めないと生命にかかわることも。小児がかかった際の多くの場合は食物アレルギーが原因。ハチやアリなど昆虫の毒や薬剤も誘因となり、重症化しやすいので注意が必要だ。
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何らかの症状が出たら自己診断せず、本ページに掲載の医療機関や薬局などに相談しよう。
ウェブサイトを活用しよう
厚生労働省と日本アレルギー学会は、正しい知識の周知を目的に「アレルギーポータル」(https://allergyportal.jp/)を2018年10月に公開した。 一方、山口県では2021年11月に、アレルギーに関する情報をまとめたウェブサイト「やまぐちアレルギーポータル」(https://ymg-allergy.jp/)を開設。県独自の取り組み「アレルギー疾患医療認定制度」に基づき認定された医師およびスタッフの検索や、アレルギー疾患に関する説明や動画を見ることができる。