この本の著者松岡享子さんは、『とこちゃんはどこ』『おふろだいすき』「くまのパディントン」シリーズなどの作者、訳者として、また公益財団法人東京子ども図書館の設立者として子どもと本との幸せな出会いの場をつくる活動に力を注ぎ、2022年1月、86才で亡くなられました。
『子どもと本』は80才のときに出された著書で、自身の読書体験にはじまり、「子どもの成長と読書」「昔話の力」「よい本を選ぶ大切さ」「図書館の役割」という五つのテーマについて、経験談をたっぷり織り込みながら、わかりやすく書かれています。
子ども時代は短く、その間に読める本はせいぜい六百冊だそうです。それだけにどんな本と出会えるか、一冊一冊の重みは大きく、子どもに本を手渡すおとなの役割も大きいといえるでしょう。
「子ども時代に、こころからたのしめる、おもしろい本に出会ったら、それがその子の『おもしろさ』の基準となります」
この松岡さんの言葉を心にとめて、これからも「えほんのとびら」を開いていきたいと思っています。
(ぶどうの木代表 中村 佳恵)
岩波書店
松岡 享子 著