財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)は、四半期ごとに実施している「法人企業景気予測調査」の結果を、このほどまとめた。調査時点は2月15日で、今期(2022年1~3月)の現状、翌期(同4~6月)の見通し、翌々期(同7~9月)の見通しについて山口県内116社にヒアリングし、114社が回答した。内訳は、製造業が40社(35.1%)で、非製造業が74社(64.9%)。企業規模別では、大企業(資本金10億円以上)が27社(23.7%)、中堅企業(同1億円以上10億円未満)が同じく27社(23.7%)、中小企業(同1000万円以上1億円未満)が60社(52.6%)だ。
まず、今期の「景況判断」が、前期に比べ「上昇」したと答えた企業は10.5%で、「下降」との回答は32.5%。BSI(「上昇」と答えた企業割合から「下降」と答えた企業割合を引いた景況判断指数=ビジネス・サーベイ・インデックス)はマイナス21.9ポイント。4期ぶりにプラスに転じた前期から一転してマイナスに。前回調査時(2021年11月15日)の予測(プラス7.9ポイント)も約30ポイント下回った。業種別にみると、製造業は12.5ポイント、非製造業は27.0ポイントのマイナス。規模別では、大企業は7.4ポイント、中堅企業は33.3ポイント、中小企業は23.3ポイントのマイナス。すべての業種・規模で「下降」との回答が「上昇」を上回った。また、先行きについては、翌期は1.8ポイント、翌々期は4.4ポイントのプラスに転じる見通しだ。
次に、2021年度の「売上高」(回答91社)は、前年度比23.3%の増収見込み。製造業は、食料品などで減収となるものの、石油・石炭、化学などの増収によって、28.6%の増収見込み。一方非製造業は、運輸・郵便などが増収するものの、建設や小売などは減収で、1.8%の減収見込みとなっている。2022年度の「売上高」(同66社)については、前年度比5.0%の増収見通しだ。
2021年度の「経常利益」(同91社)は、前年度比43.2%の増益見込み。製造業は、業務用機械などで減益となるものの、石油・石炭、窯業・土石などで増益となり、55.3%の増益見込み。逆に非製造業は、小売や建設などが減益で、全体としては14.2%の減益見込み。2022年度の「経常利益」(同65社)については、前年度比7.2%の増益見通しだ。
また、2021年度の「設備投資」(同101社)は、前年度比3.2%の減少見込み。製造業は、石油・石炭などで減少となるが、窯業・土石、情報通信機械などで増加となり、1.5%の増加見込み。非製造業は、金融・保険などで増加するが、小売、鉱業・採石等で減少するため、32.4%の減少見込みだ。規模別にみると、中小企業(137.3%)は増加、大企業(マイナス3.3%)と中堅企業(マイナス22.6%)は減少の見込み。2022年度の「設備投資」(同77社)については、前年度比18.6%の増加見通しだ。
「雇用」の現状BSI(同106社)は、21.7ポイントで、35期連続での「不足気味」超。翌期(16.0ポイント)、翌々期(16.0ポイント)も「不足気味」超は続く見通しだ。
回答企業からの声
- 「県内にまん延防止等重点措置が適用されてからは、宿泊予約のキャンセルが相次ぎ、新規の予約も少ない状態が続いている。足下で、未だ回復の兆しが見えておらず、平日は休館日を設けている」(宿泊・飲食サービス)
- 「感染再拡大により、幅広い業態の店舗で客足が減少し始めた。回復傾向にあった団体での利用もほとんど無く、お客様の外出自粛ムードが強く、売り上げの厳しい状態が続いている」(宿泊・飲食サービス)
- 「年明け以降に予定されていた学校行事での予約のキャンセルが相次いだ。燃料代も高騰しており、利益を圧迫している」(運輸・郵便)
- 「外食産業向けの受注が減っていることに加えて、原材料価格の高騰が続き、販売価格への転嫁を検討している(食料品)
- 「製品の需要は堅調なものの、感染再拡大などの影響による部品調達難から生産調整を行っており、先行きも不透明である」(金属製品)
- 「半導体関連メーカー向けの製品の需要が堅調であることから、生産量が増加する見通し」(化学)