韓国で発表されたその年のドラマ・映画の優秀作品を表彰する「百想芸術大賞」の2021年「映画部門」大賞を受賞するなど、今や世界を席巻する韓国エンタメ界で高い評価を得た「茲山魚譜(チャサンオボ)」(2021年、韓国)が、5月28日(土)に山口県教育会館(山口市大手町2)で山口県内初上映される。時間は、午前10時半、午後2時、7時からの3回。
「茲山魚譜」とは、朝鮮王朝時代の韓国で発表された、実用的な海洋生物学書。全編モノクロで描かれている本作は、この本を記した人物にまつわる伝記映画だ。
19世紀初頭、熱心なキリスト教徒だった学者チョン・ヤクチョンは、「邪教によって国を乱す大罪人」とされ、最果ての島「黒山島(フクサンド)」に流刑された。だがその島は、素朴で親切な島民たちが暮らし、多くの海洋生物が生きる豊かな海と美しい自然に囲まれていた。そして、海の生き物たちの魅力にとりつかれ、庶民のための海洋学書を書き記したい欲望が生まれていったヤクチョンは、島民の誰よりも海の生物に詳しい若き漁民チャン・チャンデと出会う。ヤクチョンはチャンデに、学問を教える代わりに、海についての知識を自分に伝授するよう話を持ちかける。やがて二人は子弟として、また友として親交を深めていくことになるが…。
監督・脚本を手掛けたのは、「時代劇映画の巨匠」として知られるイ・ジュニク。「王の男」(2005年)では韓国の時代劇映画で初めて1000万人を動員し、「王の運命―歴史を変えた八日間」(2015年)、「空と風と星の詩人 尹東柱の生涯」(2016年)、「金子文子と朴烈』などの作品で、歴史上の人物に新たにスポットライトを当て、高い評価を得た。主役のヤクチョン役は、「シルミド/SILMIDO」(2003年)で韓国初の観客動員数1000万人超えを達成させたソル・ギョング。日韓合同制作映画「力道山」(2004年)では力道山役を務めた。そしてチャンデ役は、「太陽は動かない」(2021年)で藤原竜也や竹内涼真らと共演したピョン・ヨハンが演じている。
前売り券は一般1500円。同館、YCAM、山口市民会館、C.S赤れんが、三好屋楽器店で購入でき、電話予約・当日受け取りでも適用される。当日券は一般1800円、19歳から25歳まで1000円、18歳以下800円。予約・問い合わせは、主催の西京シネクラブ(TEL083-928-2688)へ。
「朝鮮王朝を扱った作品は色彩豊かな映像が多いが、これはモノクロ映画。監督の意図や、モノクロゆえの美しさを堪能してもらえれば」と、同クラブ代表の大久保雅子さん。