石州街道から少し離れるが、今回と次回、小郡地区で是非紹介しておきたいところが二つある。その一つは自由律俳人・種田山頭火が住んだ「其中庵」で、津市の道標から西側へ約1キロの雨乞山の麓にある。各地を転々と放浪した山頭火だが、ここに庵を結んだ昭和7年から13年までの6年間、相変わらず各地を放浪しながらも多くの句集も出版して、最も充実した日々を過ごしたと言われている。
山頭火はその後湯田温泉の「風来居」に移り住むから、いつもの通り飄々と石州街道を歩いたのは間違いない。「けふもいちにち風をあるいてきた」「どうしようもない私が歩いている」こんな句も、案外その時に出来たのかも知れないと勝手に思うのも楽しい。
文・イラスト=古谷眞之助