世界保健機構(WHO)は、1970年にたばこ対策に関する初めての世界保健総会決議を行い、1989年に毎年5月31日を「世界禁煙デー」と定めた。その後、日本でも1992年に厚生労働省が、世界禁煙デーに始まる一週間を「禁煙週間」と定め、各種の啓発イベントが展開されている。
喫煙のリスク
喫煙者の死亡率は、非喫煙者より高く、日本では、年間約13万人が喫煙に関連する病気で死亡している。喫煙者(男性)が、がんで死亡するリスクは、肺がんが4.8倍、尿路(膀胱・腎盂・尿管がん)がんが5.4倍、咽頭がんが5.5倍。また、動脈硬化、脳卒中、糖尿病といった生活習慣病に代表され多くの病気を引き起こすことや、認知症の発症リスクが2、3倍高くなることもわかっている。
また、喫煙開始年齢の早さは健康への悪影響が大きい。20歳よりも前に喫煙を始めると、男性は8年、女性は10年も寿命が短縮するというデータもあり、2021年4月1日から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたが、喫煙に関する年齢制限は20歳以上とされている。
さらに、新型コロナウイルス感染症においては「喫煙者は、人工呼吸器が装着される、あるいは死亡する危険性が非喫煙者の3倍以上になる」ことが明らかになっており、日本呼吸器学会は「喫煙は新型コロナウイルス肺炎重症化の最大のリスク」と発表している。
受動喫煙の防止
受動喫煙とは「自分の意志に関わらず、他人の喫煙によりたばこの煙にさらされること」だ。日本では、受動喫煙による死亡者が年間約1万5000人にのぼると言われている。
心筋梗塞、がん、脳卒中、子どもの喘息など、受動喫煙が健康に悪影響を及ぼすことが明らかになっていることから、2019年7月に学校、病院、児童福祉施設、行政機関などが原則敷地内禁煙に。2020年4月には改正健康増進法が施行され、様々な施設での「原則屋内禁煙」義務化がスタートした。
禁煙するには
自分にあった禁煙方法を選び、計画を立てよう。禁煙する理由を明確にし、周囲にも禁煙を宣言。ライターや灰皿を捨てるなど、「吸いやすい環境」を作らない、どんな時にタバコを吸いたくなるかを分析し、ガムをかむ、深呼吸をするなど、「吸いたい」気持ちをそらす行動が求められる。
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禁煙は「予防できる最大の死亡原因」だ。医師と共に取り組めば、より確実に禁煙ができる。禁煙外来だけでなく、内科や循環器科など、さまざまな診療科でも禁煙治療が受けられる。自力でうまく禁煙できないときは、 本ページに掲載の医療機関やかかりつけ医を受診して、相談したり、禁煙外来を利用しよう。