財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)はこのほど、四半期ごとに実施している「法人企業景気予測調査」の結果をまとめた。調査時点は5月15日で、今期(2022年4~6月)の現状、翌期(同7~9月)の見通し、翌々期(同10~12月)の見通しについて山口県内113社にヒアリングし、109社が回答を寄せた。内訳は、製造業が41社(37.6%)で、非製造業が68社(62.4%)。企業規模別に見ると、大企業(資本金10億円以上)が26社(23.9%)、中堅企業(同1億円以上10億円未満)が21社(19.3%)、中小企業(同1000万円以上1億円未満)が62社(56.9%)だ。
まず、今期の「景況判断」が、前期に比べ「上昇」したと答えた企業は17.4%で、「下降」との回答は28.4%。BSI(「上昇」と答えた企業割合から「下降」と答えた企業割合を引いた景況判断指数=ビジネス・サーベイ・インデックス)はマイナス11.0ポイント。前期(マイナス21.9ポイント)より改善したものの、2期連続でのマイナスとなった。そして前回(2月15日)調査時の予測(プラス1.8ポイント)も約13ポイント下回った。業種別に見ると、製造業は9.8ポイント、非製造業は11.8ポイントのマイナス。一方規模別では、大企業は3.8ポイント、中小企業は21.0ポイントのマイナスで、中堅企業のみ9.5ポイントのプラスだった。中堅企業は、前回調査時(マイナス33.3ポイント)より42.8ポイントも上昇している。また、全体の先行きについては、翌期は3.7ポイント、翌々期は1.8ポイントのプラスになる見通し。ただし、大企業はマイナスが続く一方で、中小企業はプラスに転じる見通しとなっている。
次に、2022年度の「売上高」(回答82社)は、前年度比11.5%の増収見込み。製造業は、自動車やその付属品で減収となるものの、石油・石炭、化学などの増収により、13.8%の増収見込み。一方非製造業は、建設などで減収となるものの、小売りや情報通信が増収で、1.1%の増収見込みとなっている。
そして、2022年度の「経常利益」(同82社)は、前年度比7.6%の減益見込み。製造業は、情報通信機械などで増益となるものの、窯業・土石や石油・石炭などで減益となり、9.3%の減益見込みだ。非製造業は、運輸・郵便などで減益となるものの、小売り、鉱業・採石等で増益となり、0.2%の増益見込み。
また、2022年度の「設備投資」(同92社)計画は、前年度比13.0%の増加見込み。製造業は、石油・石炭などで減少となるが、化学や窯業・土石などで増加し、8.1%の増加見込み。非製造業は、小売りなどで減少するものの、運輸・郵便、電気・ガス・水道などで増加するため、36.0%の増加見込み。規模別に見ると、大企業(8.6%)、中堅企業(54.6%)、中小企業(21.0%)いずれも増加の見込みだ。
「雇用」の現状BSI(同101社)は、36.6ポイントで、36期連続での「不足気味」超。翌期(33.7ポイント)、翌々期(31.7ポイント)も「不足気味」超は続く見通しだ。
回答企業からの声
回答企業からは「新型コロナウイルス感染症拡大に伴う上海のロックダウンの影響で物流が混乱しており、部品の調達が滞っているため、生産調整を行っている」(電気機械)、「急激な円安の影響もあり、部品価格の高騰が続いており、調達コストが増えているため、利益を圧迫している」(自動車・同付属品)、「あらゆる食料品が値上がりしているため、購入点数が減るなど、買い控えの傾向がみられている」(小売り)、「まん延防止等重点措置の適用解除や各種消費喚起策の効果もあって県内外から客足が回復してきており、4月以降は団体での利用もみられている」(宿泊・飲食サービス)、「半導体の需要がさらに高まっており、半導体製造向けの出荷が堅調となっている」(金属製品)、「ワクチンの複数回接種が進むことで感染が落ち着き、今後も観光や出張での利用など、さらなるレンタカー需要の回復に期待している」(その他の物品賃貸)、「世界的な半導体不足や部品調達難がいつまで続くか不透明であり、今後の影響が懸念される」(金属製品)などの声が聞かれた。