財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)はこのほど、2022年7月判断の「山口県内経済情勢」を発表。「県内経済は、持ち直している」と総括判断し、今年1月以降3期連続で前回判断を据え置いた。
その要点は、「『個人消費』は緩やかに持ち直している。『生産活動』は一部に供給面での制約の影響がみられるものの、持ち直している。『雇用情勢』は持ち直しつつある」とした。さらに、「設備投資」は前年度を上回り、「企業収益」は減益見込み。また「住宅建設」は前年を下回り、一方「輸出」は前年を上回る。
そして、「先行き」については「感染対策に万全を期し、経済社会活動の正常化が進む中で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、ウクライナ情勢の長期化や中国における経済活動の抑制の影響などが懸念される中での原材料価格の上昇や供給面での制約に加え、金融資本市場の変動等による下振れリスクに十分注意する必要がある」としている。
企業の声
ヒアリングした企業からは、
「電気代の値上がりを受けて省エネ性能の高いエアコンや冷蔵庫が好調。一方で、巣ごもりやオリンピック需要の一服から、パソコンやテレビの売り上げが落ち込んでいる」(家電大型専門店)
「まん延防止等重点措置の解除後は人流が増加し、大型連休を中心に客足が回復。気温の上昇もあり、飲料やアイスクリームなどの売り上げが伸びている」(コンビニ)
「野菜や水産など、一部では価格高騰を受けて売り上げが落ち込む商品もあるが、巣ごもり疲れにより、手軽に調理できる惣菜や冷凍食品などが引き続き好調で、中食需要は強い」(スーパー)
「『県民割』の利用範囲拡大を受けて、他県からの宿泊者も増加しており、5月・6月の宿泊者数はコロナ前の水準まで回復している」(宿泊)
「各種需要喚起策もあって旅行需要が回復しており、予約が大幅に増加している。各店舗では休日を中心に人手が足りていない」(旅行代理店)
「引き続き半導体不足などによる自動車メーカーの減産を受けて納期が拡大しており、新車の登録台数が落ち込んでいるものの、受注は例年並みであり新車需要は底堅い」(自動車販売店)
「新型コロナウイルスの感染拡大に加え、世界的な半導体不足、上海のロックダウンによる部品調達難の影響もあり、車を生産しづらい状況となっており、やむなく工場の操業停止期間を設けている」(輸送機械)
「産業用機械向けや建材向けなど幅広い用途で需要が堅調であり、部品調達難で減産している自動車向けの落ち込みをカバーできている。足下における原材料や電力価格の高騰に対しては、コストアップ分を製品価格へ転嫁できている」(鉄鋼)
「自動車メーカーよる減産の影響から、自動車向けが減少しているものの、需要の強い半導体向けや海外のインフラ向けのほか、安定したニーズのある生活関連向けの樹脂原料などが堅調であることから、今後もフル生産が続く見込みである。円安が進む中、輸出製品も多いため利益が出ている一方で、ナフサなどの原料を海外から輸入しているため、一概に追い風とは言えない」(化学)
「スマホや環境対応車などで半導体需要が高まる中、半導体関連向けの製品の引き合いが強まっており、人手不足感が増している」(金属)
「まん延防止等重点措置の解除もあり、セメントにおいて、首都圏の再開発案件向けが伸びているものの、国内全体でみれば低調。このため、需要が堅調な東南アジアなど海外向けの輸出を増やすことで、生産量を維持している」(窯業・土石)
「自家発電設備の一部を石炭燃焼からバイオマス燃焼にするなど、今後数年かけて脱炭素に向けた設備投資を行っていく予定である」(化学)
「ペーパーレス化やネットワークの更改など、生産性の向上を目的としたDX関連の設備投資を実施予定」(学術研究、専門・技術サービス)
などの声が聞かれた。