ロシアによるウクライナ侵攻や、急速な円安の進行などにより、さまざまな物が値上がりしている。そこで山口県中小企業団体中央会(TEL083-922-2606)は、県内中小企業における「原材料費アップ等に対する価格転嫁状況」について調査した。調査時点は7月1日で、369事業所が回答を寄せた。
まず、原材料費や人件費(賃金等)の上昇に対し、「価格引き上げ(転嫁)に成功」と回答したのは91社(25%)。「交渉中」は82社(22%)で、「これから交渉を行う」も55社(15%)あり、約6割の企業が「転嫁」へと舵を切る(切った)ことになる。一方、「転嫁せず」は42社(11%)で「転嫁できず」も16社(4%)。「対応未定」は74社(20%)だった。
「価格引き上げ(転嫁)に成功」と回答した割合を業種別に見ると、「木材・木製品」が63%、「印刷・同関連」が44%、「窯業・土石」が38%など製造業に比較的多く、「卸売業」「小売業」(ともに18%)や「建設業」(16%)など非製造業は少ない。
そして「転嫁(予定も含む)の内容」(回答228社、複数回答)は、「原材料分」が189社(83%)と圧倒的に多かった。「人件費引き上げ分」は63社(28%)で、「利益確保分」と回答した事業所も61社(27%)あった。
また、転嫁に成功した91社に対し、1年前と比べた価格上昇の割合を聞いたところ、「10%未満」が47社(52%)とトップで、「10~29%」(33%)がそれに続く。「70~99%」(7社)、「100%以上」(4社)、「50~69%」(3社)という回答もあった。
山口商議所も調査
山口商工会議所(TEL083-925-2300)は、6月に石油高・円安・ウクライナ紛争が会員企業の経営状況に与えた影響を調査した。回答したのは365社。
まず、主要仕入れ3品目の値上がり率(対前年)は、「15%以上増加」が40%と最も多く、以下「10%以上増加」(29%)、「5%以上増加」(22%)と続き、「影響がない」は9%だった。
仕入れ値の上がった企業に価格転嫁について聞くと、「消費者」に対しては「検討中」54%、「転嫁する」33%、「転嫁しない」13%で、「取引先」に対しては「検討中」48%、「転嫁する」35%、「転嫁しない」17%だった。
また、仕入れができなくなったり、大幅に遅れるなどの影響があるかどうかについては、「ある」(24%)と「少しある」(28%)を合わせると、半数以上の事業所に影響が出ている。
希望数量に対して仕入れることのできる割合については、希望通りの「100%」が59%と過半数を占めた。だが「80%以上」(32%)、「60%以下」(8%)、「仕入れできない」(1%)との回答もあった。