ここは、小さな商店街の近くにある住宅地。夕方になると家々からおいしそうなにおいが漂ってきます。
さかな屋さんで買ってきたばかりのさんまを焼いている家があります。きょうのごはんは、こんがり焼いたさんま。お皿には、男の子のすりおろした大根が添えてあります。
おとなりからも、いいにおい。このうちの夕ごはんは、みんなでつくったカレーライス。ふたごの姉妹がもりつけたごはんに、おとうさんがルーをたっぷりかけてくれました。
もう一軒先の家は、おとうさんの得意料理、オムライス。仕事から帰ってきたおかあさんも一緒に「いただきまーす」。
家の中の様子や食卓を囲む家族の姿を見ていると、それぞれの家庭の日ごろの生活ぶりが目にうかんできます。
一日のおわりのほっとする夕ごはんの風景を案内してくれたのは、この町内をお散歩コースにしているねこ。最後に行ったのは、屋台のおでん屋さんでした。
「ぼくの ごはんは なぁーに?」おじさんは、ねこの大好物、ちくわ入りごはんを出してくれました。
(ぶどうの木代表 中村 佳恵)
偕成社
作:加藤 休ミ