明治時代から昭和20年代にかけて国内で広まり、「国民病」とも言われた結核だったが、2021年1年間の結核り患率(人口10万当たりの患者数)は9.2人と調査開始以来初めて10人を切った。その結果日本は、WHO(世界保健機関)が定める「結核低まん延国」に。しかし、この数字は「新型コロナウイルス感染症による受診控えなどの影響があるのでは」という見方もある。9月24日から30日は結核予防週間。今一度結核について考える機会にしよう。
結核とは、結核菌により肺などに炎症が起こる病気だ。空気感染で広がるが、初期症状は咳、微熱、倦怠感など風邪と似ているため、気づかないうちに進行してしまうことがある。
2021年の新登録結核患者数は全国で1万1519人、山口県内で141人。前年に比べて全国で1220人、山口県では22人減少した(表参照)。
新型コロナウイルス感染症流行によるマスク着用や三密回避などの対策が功を奏していることもあり、前年比での減少率は高いが、一方で受診控えや検診控えによる発見の遅れや潜在的な患者の把握漏れも指摘されている。
加齢による免疫力低下に要注意
近年の傾向として「患者の高齢化」があげられる。かつて結核がまん延していた時代に既に感染していた人が、高齢化による免疫力の低下に伴い発症してしまう例が多くみられる。実際、新登録結核患者の80%以上を60代以上が占めている。
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厚生労働省では毎年9月24日から30日を「結核予防週間」と定め、結核に関する正しい知識の普及啓発を図っている。また、結核予防会は、全国各地で街頭募金や無料結核検診、健康相談等を実施して、結核予防の大切さを伝えている。
結核の対策は「感染予防」と「発症予防」がポイントになる。感染症の予防には、ウイルスから体を守ろうと抵抗する免疫力が重要だ。バランスのとれた食生活、十分な睡眠休養、適度な運動、禁煙などが免疫力を高め、発症予防につながる。
さらに、定期的(年に1回)に胸部レントゲン検査を受けることが大切だ。診断が遅れると、重症化や集団感染につながる恐れもある。タンのからむ咳や微熱・身体のだるさが2週間以上続いている、体重が減ってきたといった症状が見られる時は、下記に掲載の医療機関などを早めに受診しよう。
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