表紙の写真は、西アフリカの国、トーゴの家。外壁には魔よけの骨がつるしてあります。また、家の前にみえる山型の土のかたまりは身がわりのほこらで、家族の人数分作られているそうです。裏表紙には、この家を上からながめた様子が描いてあり、家の中をどんなふうに使っているかがわかります。
著者の小松義夫さんは、家の写真をとりながら世界中を旅してこられた写真家で、この本にはそのうち10ヶ国の家が、西山晶さんの楽しいイラストとともに紹介してあります。
水と、馬や羊が食べる草を求めて大草原を移動しながら生活するモンゴルの人たちの家は組み立て式。外側をおおっているのは羊の毛で作ったフェルトです。
夏は50度近く、冬は0度以下と気温差の激しいチュニジアでは、地下の温度が25度前後に保たれていることを利用し、地面に穴を掘り、家を作っています。
身近な自然から得た知恵をもとに、生活様式にあった家を作って暮らす人々の姿から、その土地の風土、伝統、文化が形となってあらわれたものが家なのだ、ということを知りました。
福音館書店
文・写真:小松 義夫
絵:西山 晶
ぶどうの木代表 中村 佳恵