9月27日に行われた安倍晋三元首相の国葬で、友人代表として追悼の辞を読んだ菅義偉前首相が山県有朋の和歌を引用して話題になった。今年は萩市出身の元勲・山県有朋(1838年~1922年)の没後100年にあたる。これを記念して十朋亭維新館(山口市下竪小路)では、企画展「十朋亭を愛した元勲 山県有朋」が開催されている。
山口県内に所蔵されている資料などから、維新の志士たちが集った豪商・萬代家の離れ座敷だった十朋亭と山県との関わりにも触れ、その人物像に迫る。萩藩で武家の奉公人から身を立て、元帥陸軍大将・内閣総理大臣に昇り、元老として明治・大正期の政治・軍事をリードした彼の"原点"を知ることができる機会だ。
同展は9月28日に始まった。「この企画展開始前日に行われた国葬で、山県有朋の名前が出て驚いた」と同施設学芸員の立石智章さんは言う。
会場には、雲をもしのぐほど高い志を表現した書「凌雲気」の扁額、手記、和歌、漢詩の掛け軸など25点が並ぶ。「椿山集」(山県の歌集)は、菅前首相によって引用された和歌「かたりあひて盡しゝ人は先たちぬ今より後の世をいかにせむ」が収められたページを開いて展示。図書コーナーには追悼の辞で紹介された書籍、岡義武著「山県有朋」(岩波書店)の新書版と文庫版を並べて置くなど、急きょ工夫を凝らした。12月19日(月)まで開催されるが、11月9日(水)から後期展になり、展示内容は変わる。
また、11月3日(木・祝)、11月27日(日)午後1時半からは、立石さんによるギャラリートークが開かれる。事前申し込み不要、参加無料(要入館料)で、展示や資料についてわかりやすく説明してもらえ、自由に質問もできる。
開館時間は午前9時から午後5時までで火曜休館。入館料は高校生以上200円、小・中学生100円。問い合わせは同施設(TEL083-902-1688)へ。
立石さんは、「明治から大正にかけて、わが国の政・軍両面にわたって影響力を持った"巨人山県"。彼の原点は、志士として出発し、奇兵隊軍監として実力を磨いた幕末・維新の青春期にあるといってよい。この時代に出入りしていた萬代家との関わりなどを知ってもらえれば」と話す。
さらに、同施設では「開館4周年&萬代利兵衛201歳誕生日記念キャンペーン」が開かれており、24日(月)までに観覧すると記念品がもらえる。