写真は、山口市秋穂半島の海水浴場、美濃ヶ浜で拾われた土器です。把手(とって)のような細長い土台の上に大きなコップが載る、とても不思議な形。この土器はいったい何に使われたのでしょうか。答えは、製塩。つまり塩づくりのための「製塩土器」です。
弥生時代から古代にかけての製塩は、まず海藻を集めて焼き、灰を海水に入れて濃い塩水をつくります。この濃い塩水を土器で煮沸して水分を飛ばすことで、結晶化した塩ができたのです。細長い土台の部分を砂浜にさし周りで火を焚いて、煮詰めていったのでしょう。
この特徴的な形の製塩土器は、6世紀から7世紀のもので、最初に発見された場所の名前を冠して「美濃ヶ浜式土器」と呼ばれています。この土器は、山口湾から山陽小野田市の沿岸部でみつかっており、製塩が盛んだったことを示しています。
山口県立山口博物館 考古担当 阿部 来