11月26日(土)に、西京シネクラブ(大久保雅子代表)による映画上映会が、山口県教育会館(山口市大手町2)である。県内初上映の「母へ捧げる僕たちのアリア」(2021年、フランス)と「教育と愛国」(2022年、日本)の2作品が上映される。
「母へ捧げる僕たちのアリア」
2021年カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門に正式出品され、話題となった作品。監督・脚本を手がけたヨアン・マンカの長編デビュー作で、彼の実経験も盛り込まれている。
南仏、海辺の町にある古ぼけた公営団地で家族と暮らす14歳の少年ヌールは、昏睡状態の母を3人の兄たちとともに自宅で介護している。生活は苦しく、夏休みも兄の仕事の手伝いや家事に追われる日々を送るヌールの日課は、毎夕、母の部屋の前にスピーカーを持っていき、母が大好きなオペラを聴かせてあげることだった。ある日、校内を掃除していたヌールは、歌の夏期レッスンをしていた講師サラと出会い、歌うことに夢中になっていくが―。
「人知れぬ涙」(愛の妙薬)「誰も寝てはならぬ」(トゥーランドット)「乾杯の歌」(椿姫)など、オペラの名曲とともに4兄弟の絆や母への愛、少年の芸術への出会いを描く。主演は、オーディションで選ばれたマエル・ルーアン=ベランドゥで、「007ノー・タイム・トゥ・ダイ」のダリ・ベンサーラや「女の一生」のジュディット・シュムラなどが脇を固める。
「教育と愛国」
2017年度ギャラクシー賞テレビ部門大賞を受賞するなど大きな話題を呼んだ、同年に大阪・毎日放送で放送されたドキュメンタリー番組「映像'17教育と愛国~教科書でいま何が起きているのか」をベースに、追加取材と再構成を施し映画化した。
2006年に第1次安倍政権下で教育基本法が改正され、戦後初めて「愛国心」が盛り込まれた。以降「教育改革」「教育再生」の名のもとに、教科書検定制度が目に見えない力を増していった。毎日放送で20年以上にわたり教育現場を取材してきた斉加尚代監督が、教科書の編集者や執筆者へのインタビュー、慰安婦問題など加害の歴史を教える教師や研究者へのバッシングなどを通し、「教育と政治」の関係を見つめつつ、教育現場に迫る危機を浮き彫りにした。俳優の井浦新が語りを担当。
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上映時間は、「母へ捧げる僕たちのアリア」が午前10時半、午後1時半、同7時からの3回。「教育と愛国」が午後4時から。
それぞれ、前売り券は一般1500円(電話予約可、TEL083-928-2688)。当日券は、一般1800円、19歳から25歳まで1000円、18歳以下800円。