財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)はこのほど、四半期ごとに実施している「法人企業景気予測調査」の結果をまとめた。調査時点は11月15日で、今期(2022年10~12月)の現状、翌期(2023年1~3月)の見通し、翌々期(同4~6月)の見通しについて山口県内114社にヒアリングし、106社が回答を寄せた。内訳は、製造業が42社(39.6%)で、非製造業が64社(60.4%)。企業規模別に見ると、大企業(資本金10億円以上)が24社(22.6%)、中堅企業(同1億円以上10億円未満)が22社(20.8%)、中小企業(同1000万円以上1億円未満)が60社(56.6%)だ。
まず、今期の「景況判断」が、前期に比べ「上昇」したと答えた企業は21.7%で、「下降」との回答は19.8%。BSI(「上昇」と答えた企業割合から「下降」と答えた企業割合を引いた景況判断指数=ビジネス・サーベイ・インデックス)は1.9ポイント。前期(マイナス13.5ポイント)より約15ポイント改善し、4期・1年ぶりに「上昇」超となった。業種別に見ると、製造業は7.1ポイントのマイナスで、非製造業は7.8ポイントのプラス。一方規模別では、大企業はマイナス16.7ポイント。中堅企業は4.5ポイント、中小企業は8.3ポイントのプラスだった。また、全体の先行きについては、翌期は5.7ポイント、翌々期は3.8ポイントのマイナスに転じる見通しだ。
次に、2022年度の「売上高」(回答84社)は、前年度比25.5%の増収見込み。製造業は、自動車やその付属品で減収となるものの、石油・石炭、化学などの増収により、31.0%の増収見込み。一方非製造業は、情報通信などで減収となるものの、運輸・郵便や小売が増収で、1.8%の増収見込みとなっている。
そして、2022年度の「経常利益」(同83社)は、前年度比16.8%の減益見込み。製造業は、石油・石炭などで増益となるものの、化学や窯業・土石などで減益となり、20.5%の減益見込み。非製造業は、宿泊・飲食サービスなどで増益となるものの、情報通信や小売などで減益となり、0.9%の減益見込み。
また、2022年度の「設備投資」(同93社)計画は、前年度比9.2%の増加見込み。製造業は、石油・石炭などで減少するが、化学や鉄鋼などで増加し、3.6%の増加見込み。非製造業は、運輸・郵便などで減少するものの、電気・ガス・水道などで増加するため、30.3%の増加見込み。規模別に見ると、大企業(6.6%)、中堅企業(17.5%)、中小企業(26.9%)いずれも増加の見込みだ。
「雇用」の現状BSI(同97社)は、38.1ポイントで、38期連続での「不足気味」超。翌期(39.2ポイント)、翌々期(35.1ポイント)も「不足気味」超は続く見通しだ。
回答企業からの声
回答企業からは「観光シーズンに加え、国による旅行支援もあり、観光需要はかなり強い。コロナ前ほどではないが、ツアー・団体客も増えつつある。年末までは需要喚起策が続くため、客数の増加を見込んでいる」(宿泊)、「円安等の影響により原材料価格は高騰が続いている。価格転嫁の交渉を順次行っているが、足下でも価格上昇は進んでおり、利益を下押ししている」(化学)、「先行きについては、旺盛だった半導体製造装置関連の需要が調整局面に入り、以前と比較すると受注が落ち着く見込み」(金属製品)、「年末年始までは一定の購買意欲が続くものと思われるが、それ以降では、多数の商品が値上げされている中、お客様の購買意欲は続かないのではとみている」(小売)などの声が聞かれた。