今年も終わりが近くなりました。今年、皆様はどのようにお過ごしになられましたか。禍福は糾える縄の如し、で良いことも悪いこともありましたでしょう。二〇二二年の全体の私の印象としては、数年前に書かれた詩ですが、この詩が今年もピッタリなのです。作者名を失念してしまいました。
ひものことが/話題となっているけれど/ひもは見えない/見えにくい/というところに本質がある//たとえば台所に座っている冷蔵庫/あのおしりのところから/一本のひもが/のびていることに気づいている人は/少ない//冷蔵庫のひもを/たどっていくと/その先に何があるか/もちろん巨大な発電所/石油やウラニウムが/ぼうぼう燃えている//発電所から/さらに/シルクロードならぬオイルロードが/ぎらぎら光りながら/海のかなたに/地球の裏側までもつづいている/なまぐさく/執念深い幾すじものひも//マイホームの明るい台所に/キュートな新製品を買い込んだ時/ひもの先の/ずいぶんやくざなものまで/かかえ込んだ//入道雲の立ち上がる夏/トマトジュースを飲もうとして/冷蔵庫をあけると/不意に/爆弾でもぎとられたアラブの少女の/片腕が/一番下の棚に入っていたりする
一年間、ありがとうございました。