2020年1月に新型コロナウイルス感染症が国内で最初に確認されてから、約3年が経過する。ワクチン接種や経口薬の承認も進む中、ウイルスの変異、後遺症、インフルエンザとの同時流行など、新型コロナウイルス感染症を取り巻く状況は日々変化を続けている。そのような中で、外出機会や人との関わりの減少に伴う心身のおとろえ「コロナフレイル」が懸念されている。フレイルとはどのようなものなのか、また予防するポイントをまとめてみた。
フレイルとは
フレイルとは、2014年に日本老年学会が提唱した概念で、「虚弱」を意味する。健康な状態と要介護状態の中間とされ、高齢者においては身体的機能や認知機能の低下が見られる状態を指す。
フレイルの原因と「フレイルサイクル」
フレイルは、ロコモティブシンドローム(運動器障害)や低栄養、口腔機能低下などの「身体的要因」、軽度認知障害やうつといった「精神・心理的要因」、独居や孤食、他者とのコミュニケーションの減少といった「社会的要因」の3要素で構成される。
加齢などにより活動量が減少すると、筋力の低下が起こる。また、外出機会など社会との関わりが少なくなることで活動量も減り、エネルギーを消費する基礎代謝や食欲も低下する。その結果、低栄養の状態になってしまい、体重が減少。ますます筋肉量が減り、さらに外出する、人と会うなどがおっくうになり、活動量が低下する――という悪循環「フレイルサイクル」に陥る可能性もある。
どんな人がなりやすい?
かつては高齢者に多いと言われていたが、コロナ禍における外出自粛や運動不足、検診控えといった活動制限によって、あらゆる年代で生活習慣病や肥満、免疫力の低下など、心身が衰えた状態になることが懸念されている。
予防法は?
フレイルは、早期の発見や治療、予防で改善が期待できる。
●食生活
バランスの良い食事をきちんと3食摂ろう。特に、筋肉の材料となるたんぱく質や、筋肉、骨の維持・形成に欠かせないビタミンDを積極的に摂取しよう。
●運動
生活習慣病予防や運動機能維持のために、定期的な運動をしよう。体を動かすことは筋力低下を防ぎ、食欲増進につながる。人との距離を取って屋外でウォーキングや軽いジョギングを行う、室内で椅子に座ったままでできる体操をやってみるなど、自分の体調に応じて体を動かそう。
●社会活動
人とのコミュニケーションや社会とのつながりが希薄になると、認知機能の低下につながる。感染対策を講じながら、人との会話や交流をしっかり取ろう。趣味やボランティアに参加したり、感染が気になる場合は電話で連絡を取り合う、家族や友人と会話したりすることも一つの方法だ。
ストレッチや体操でフレイルを予防しよう