山口県立美術館は今年で45年目を迎えます。成人男性にたとえていうならば、大厄を終えて心身ともに立て直し、なお一層、活躍の場を広げていく、大事な時期といえるでしょう。
たしかに、ソフト面においては、いろいろな経験を重ねて、随分と技術を蓄積できてきたと思います。とはいうものの、ハード面においては老朽化が著しく目立ってまいりました。近年は、短い休館時期を利用して小さい工事を繰り返している状態です。しかし、本年は4か月に及ぶ大工事をせざるを得なくなりました。44年間、酷使し続けてきた空調機器が、ついに音を上げたのです。
空調は作品を守るうえで欠くべからざるもの。美術館を運営する際に必須のものです。作品を後世に残していくために定められた規定では、温度は22度±1、湿度は50~60%を常に保持しなければなりません。
工事が終了しても、なにか目新しくなるわけではありませんが、文化財保護のため、是非、ご理解いただきたいと思います。
山口県立美術館副館長 河野 通孝