椹野川沿いの宮野石丸地区にある龍王社は前回掲載した仁壁神社の末社である。現在はイラストのようにトタン葺だが、宮野八百年史には「拝殿九尺弐間瓦葺」だったとある。
この社の謂れについては、山口県教員委員会による「歴史の道調査報告・石州街道」でも特段触れてはおらず、社よりはるかに立派なムクノキについて「社殿を囲むように境内の周辺にムクの巨木が5本としてあり、最大のものは根回り8メートル、高さ25メートルとされ、市指定の天然記念物になっている。ムクノキは神の依代として信仰されている」と記しているだけである。境内には今から220年前に村人たちが河原から引き揚げて据えたと伝わる周囲5メートルの大きな手水鉢もある。
文・イラスト=古谷眞之助