演劇に関する講演や展示会、演劇公演など、演劇尽くしのイベント「日常からふみだす…赤れんが演劇days」が、2月23日(木・祝)、25日(土)、26日(日)の3日間、C・S赤れんが(山口市中河原町5)で開かれる。同館開館30周年記念事業の一つ。
同館指定管理者の認定NPO法人こどもステーション山口は、「山口市は学生演劇や社会人演劇など、アマチュアの劇団による活動が盛んな割に、観劇する市民が少ない。彼らの文化芸術に向けた情熱と活動は、見えないところでじんわりと山口の市民文化の土壌を耕してくれているはず」と、市内演劇人の存在意義を感じたという。そこで、「『市民の演劇』を応援しつつ、皆さんに広く演劇を楽しんでもらいたい」との思いで、この催しを開催する。
講演会
初日の23日午後1時からは、劇作家で演出家の泊篤志(とまりあつし)さんによる講演会「えんげきの深みにはまる?はまらない?」。
泊さんは、1968年北九州市出身。執筆・演出を手掛けた作品「生態系カズクン」(1998年)で第3回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。「IRON」(1999年)が第44回岸田國士戯曲賞最終選考にノミネートされた。現在、劇団「飛ぶ劇場」の代表を務め、活動拠点の北九州芸術劇場で「ローカルディレクター」として九州演劇界の底上げに努めている。さらに、各美術館とコラボレーションしての作品創作、オペラの構成・演出、書道パフォーマンスの演出、文化芸術交流イベント「東アジア文化都市 北九州」(2020年~2021年)の閉幕式典演出を手掛けるなど、活動は多岐に渡る。
聴講料は500円(未就学児入場不可)で、事前の申し込みが必要。希望者は、C・S赤れんが(TEL083-928-6666)へ、氏名と電話番号を伝える。
演劇公演
25日と26日は、地元山口で活動している二つの劇団「ユニット・ピコ」と「劇団シバイヌ」による公演。
ユニット・ピコは、山口市出身の中野志保さんによって2016年に設立された劇団。特定の団員を定めず、公演ごとにスタッフや役者を集め、「この企画限り」のユニットを結成して演じる。今回は2日間で「青春失格ちゃん」と「決められない男たち」の2作品を2回ずつ(計4回)公演。前者は2020年から現在までのコロナ禍が舞台、後者は1940年代前半の戦時中を背景にした物語で、2作品とも「劇団が不要とされていた時代」の青春群像劇だ。
劇団シバイヌは、山口大学演劇サークル「劇団笛」のOB・OGを中心に2011年に結成され、同じく山口市を拠点に活動を展開している。現代表は、企画・脚本を手掛けている宮﨑萌美さん。「人が人を演じ、嘘がウソでなくなる瞬間のエネルギーを生で感じられるシバイを」をモットーに、劇団員は、他団体の客演、イベント、ラジオ、動画の出演・企画など、さまざまなステージで活躍している。シバイヌとは、「芝居の犬」をもじって命名された。今回の演目「鳴り渡る空は何色」は、1役に2人の俳優を割り当て交互に出演させる「ダブルキャスト」で演じられる。同団の団員は6人だが、今回の公演にあたってキャストを募集したところ、「劇団コックピット」や「劇団ユニット・石ころ」の団員から参加の申し出があり、総勢12人で演じる。同じ演目でも、キャストによって異なる性別、演技が見どころだという。
両日とも4公演行われ、演目またはキャストの違う4作品が上演される。上演スケジュールは次の通り。
25日=午後1時半~「青春失格ちゃん」(ユニット・ピコ)▽3時~「鳴り渡る空は何色」(劇団シバイヌ・キャストA)▽5時半~「決められない男たち」(ユニット・ピコ)▽7時~「鳴り渡る空は何色」(劇団シバイヌ・キャストB)。
26日=午後0時半~「決められない男たち」(ユニット・ピコ)▽2時~「鳴り渡る空は何色」(劇団シバイヌ・キャストB)▽4時半~「青春失格ちゃん」(ユニット・ピコ)▽6時~「鳴り渡る空は何色」(劇団シバイヌ・キャストA)。
前売りチケットは、同館、山口市民会館、YCAM、こどもステーション山口事務局で販売されている。料金は、4公演綴り4000円、2公演綴り2500円、1公演1500円。高校生以下は、4公演綴り2500円、2公演綴り1500円、1公演1000円。当日券は、1公演券のみの販売となる。未就学児は入場不可。
展示会
さらに、「演劇チラシ・ポスター展示会」(入場無料・予約不要)も同時開催される。山口市内でこれまで行われてきた劇団公演のチラシやポスターなど、現存資料350点以上が並ぶ。時間は午前9時から午後5時までだが、ユニット・ピコの演劇会場と重なるため、上演中は入場できない。