財務省山口財務事務所(TEL083-922-2190)はこのほど、2023年1月判断の「山口県内経済情勢」について「県内経済は、持ち直している」と総括判断した。昨年1月以降5期連続で、前回判断を据え置いた。
その要点は、「『個人消費』は、物価上昇の影響は見られるものの、緩やかに持ち直している。『生産活動』は、物価上昇等の影響が見られるなか、持ち直しのテンポが緩やかになっている。『雇用情勢』は、持ち直している」とした。さらに、22年度の「設備投資」は前年度を上回り、同じく「企業収益」は減益の見込み。また「住宅建設」は前年を下回り、逆に「輸出」は前年を上回る。
そして、2月以降の「先行き」については「ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引き締め等が続く中、海外景気の下振れが景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響や中国における感染拡大の影響に十分注意する必要がある」との判断を示している。
企業の声
ヒアリングした企業からは、
- 「家具について、円安を受けて輸入品を中心に価格が上昇しており売れ行きが鈍い。また、10月、11月は気温が高めに推移し、ヒーターなどの暖房器具が伸び悩んだ」(ホームセンター)
- 「商品単価の上昇もあるものの、人流の増加もあっておにぎりや飲料などが好調で、全体的な売り上げが伸びている」(コンビニ)
- 「新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、コロナ検査キットなどの関連商材が好調。咳止めや解熱剤の引き合いも強く、品薄の状況が続いている」(ドラッグストア)
- 「電気代の高騰を受けて節電意識が高まっており、肌着など衣類品の売り上げが好調」(スーパー)
- 「観光シーズンに加え、全国旅行支援による需要喚起もあって、宿泊者数はコロナ前の水準まで回復した。春先までは全国旅行支援が続く見込みであり、引き続き一定程度の宿泊者数が期待できる」(宿泊)
- 「半導体不足の影響が依然として続いており、調達状況に応じた生産が続いているものの、生産台数は安定して推移している」(輸送機械)
- 「引き続き、国内での建設需要は減少傾向にある。アジアなど海外向けの需要は、動向にあまり変化はなく堅調」(窯業・土石)
- 「中国のゼロコロナ政策による経済停滞、海外製品との価格競争などにより、アジア全般への樹脂原料の出荷が減少している」(化学)
- 「半導体製造装置向けや厨房向けなど、引き続き様々な用途の製品に一定の需要が見られるものの、価格高騰のためか、前期と比較すると全体的に受注減の傾向が見られる。特に、建材向けや産業用機械向けなどは受注が減少している」(鉄鋼)
- 「商品の引き合いが強く、需要に対応するためにフルタイムの社員を募集している。物価高への対応や人手不足の解消に向け、ベースアップを検討している」(食料)
- 「全国旅行支援により宿泊者が増加する中、従業員の人手不足感が強まっている。空室があっても、従業員が足りず十分なサービスを提供できないことから、新規の予約受付を断る場合もある」(宿泊)
- 「東南アジアを中心とした半導体関連の「需要拡大を受け、製品の生産能力増強を実施」(化学)
- 「老朽化したガス配管の工事費用などを計上している」(電気・ガス・水道)
などの声が聞かれた。