2021年の第74回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した「英雄の証明」(2021年イラン・フランス)が、山口県内初上映される。日時は3月4日(土)午前10時半、午後2時、7時からの3回で、会場は山口県教育会館(山口市大手町2)。
SNSやメディアの影響力の大きさに着目し、それらに翻弄された男の姿を描くヒューマンサスペンスだ。
舞台はイランの古都・シラーズ。元看板職人のラヒムは借金が返済できずに告発され、刑務所で服役している。ある日、婚約者ファルコンデが偶然にも17枚の金貨の入ったバッグを拾う。借金を返済すればその日にでも出所できるラヒムは、その金貨を換金して借金返済に充てようとした。しかし、罪悪感にさいなまれたラヒムは、金貨を落とし主に返すことを決意して獄に戻る。その善行がマスコミで報じられると大きな反響を呼び、「正直者の囚人」として世間から称賛される。仮釈放の期間も延長され出所すると、彼のために寄付金が集まり、刑期が終了した際の就職先も決まるなど、とんとん拍子に人生は好転。しかし、 彼の行いは作り話ではないかという噂がSNSを介して広まり、状況は一変。前妻との間にもうけた吃音(きつおん)症の幼い息子をも巻き込む大きな事件へと発展していく―。
監督・脚本を手掛けたのは、「イランの名匠」とも呼ばれるアスガー・ファルハディー。「別離」(2011年イラン)と「セールスマン」(2017年イラン・フィンランド)の2作品でアカデミー外国語映画賞を受賞するなど、世界的にも高い評価を受けている。
電話予約(TEL083-928-2688)で申し込む前売り券の料金は、一般1500円。当日券は、一般1800円、19歳から25歳まで1000円、18歳以下800円。
主催する西京シネクラブの大久保雅子代表は、「舞台はイランだが、SNSの影響を受けやすい実態は日本でも同じ。日常を深堀りするのがうまい監督で、映画の世界に引き込まれ目が離せない。古都の風景も美しいので、ぜひスクリーンで見てほしい」と見どころを話す。