今回は、普段あまり意識しない部分の技術の進化について注目してみましょう。上の写真の電球みたいなものをご存じですか。これは「ニキシー管」といって、約60年前の電卓の数字の表示部によく使われていた放電管です。写真をよく見るとニキシー管の中には、細い金属線で形作られた0から9の数字が収められているのがわかります。放電管の中にはネオンガスが満たされており、入力した数字や計算結果に対応した信号が、個別の数字の電極に高電圧をかけることで、数字のまわりのガスを発光させていました。オレンジ色に点灯する光がなんともやさしい感じです。
数字を表示させる部分の技術は、その後、数字が青緑色に点灯する蛍光表示管や、黒色で表示される液晶表示へと進化していき、現在ではさまざまな色で文字や数字を表示させることができるLED表示などに変わってきました。
山口県立山口博物館 理工担当学芸員 漁 剛志