気になる短歌をみつけた。“ロボットが子を産む世紀、陣痛は死語とならむか彼ら痛むか 水原紫苑”
近所の商店に小学三年生くらいの身長の人型ロボットがいて、子供達が覗き込んで話しかけていた。応答も可愛い口で淀みなくこなしている。笑いを誘う仕草もあり、おもわず頭を撫でたら身体は金属で硬かった。冒頭の一首でこのロボットを思い出した。ロボットが子を産む世紀が来る? その時陣痛はあるのか?
ひとつの詩が口をついた。
女に聞け 宮尾節子
(前略)絶対に、あなたを生むという、ただ/ひとつ事のほか何も考えない。考えられない。/あのときの、ひどくみじめに/敗れたわたしの姿から、生まれたあなたの世界が/(しかし、あなたが生まれた瞬間に、/恥ずかしいが、誇らしいに変わった!)/愛であることを、/(生まれたものが、命だったからだ。)/平和であることを、/(広がったものが、喜びだったからだ。)/私は信じて疑わない。(後略)
「陣痛」は死語になるかもしれない。しかし、新しい生命を手にした誇らしさと喜びの言葉は死語とはならない。新しい感覚の言葉が女性達によってもっと溢れて来るだろう。平和と言う言葉も。