“よそゆきが/ふだんぎになる/そのかわりめの/あつまりが/月日だと して”(服・松下育男詩集より)なんて口ずさみながら、箪笥の服を整理していたらピンクのセーターが出てきた。色あせてくたびれているが、十年前のよそ行きだった
“コートが幾星霜の/月日なら/コートを着ることは/その人の生を あるいは/いくどもうちよせては ひいていく/空を/わが身におおいかぶせる/ことで・・・”
ピンクのセーターを着ると、過去まで連れて来る。ごめんなさい、私が悪うございました、という事ばかり思い出す。捨てようかしら。地球は温暖化に進んでいるので、冬でもセーターはいらなくなるかもしれない。しかし、今年の冬は寒かった。
『寒さの原因は、北極海の氷の融解だという。温暖化で海水温が上昇し、北極海に大きな氷の穴があくと、海が熱を吸収し、その熱が大気に伝わる。その結果、北極の冷えた空気からなる「極渦」と呼ばれる渦が弱まって、寒気が中緯度に南下してきやすくなるのだという』(いま、この惑星で起きていること・森さやか著)。
今までそこまで寒くなかった地が凄く寒くなるのだ。しばらくはセーターを取っておこう。過ぎ去った月日は忘れよう。