国道9号線、木戸山隧道手前の谷間に家屋数軒の杖坂集落はある。これまで津和野方向に歩いてきているが、イラストは逆に山口に向かうシーンであることにご注意願いたい。登場人物は三人とも語り部仲間で、第二次石州街道研修の際に篠目駅から山口駅まで歩いた時の写真を元にしているためである。
それはさておき、背後の集落付近には石畳が僅かに残っているので、通過する際には是非見ておきたい。また、ここに一里塚もあったと伝わるが、現在は不明である。長州藩の地誌「地下上申」には「難所のため杖の助けが必要だったので杖坂と呼ばれた」と記載されている。事実、ここから街道一の難所、大峠まで標高差170メートルの急坂が続く。
文・イラスト=古谷眞之助