ころんとまるまって自分の身を守るだんごむしは、身近な場所で目にすることの多い生きものです。私の娘たちは小さい頃、つかまえてはポケットに入れ持ち帰り、そのまま忘れてしまって、気付いたらうちの中をはい回っていた…ということが何度かありました。
この絵本はその生態について、だんごむし自身が物語る形で書かれています。
名前に「むし」とあるものの、だんごむしは昆虫ではありません。
「ほんとはね、ぼくたちはこんちゅうじゃなくて かにや えびの なかまなんだ。」
二日がかりの脱皮をくりかえしながら大きくなること。枯れ葉や虫の死がいだけでなく、ダンボールやコンクリートも食べ、うんちは四角い形をしていることなど、科学的な内容がわかりやすい言葉で説明してあります。
絵は、落ち着いた色合いのはり絵とやわらかいタッチの線をくみあわせて描いてあり、「生きものは苦手」という人でも手に取りやすい作品です。
最後に飼い方も紹介してあります。興味がわいたらぜひ試してみてください。
福音館書店
文:得田 之久
絵:たかはし きよし
ぶどうの木代表 中村 佳恵